育成就労制度 FAQ(Q1〜Q69)|制度目的・開始時期・転籍・日本語要件まで整理

育成就労制度は、技能実習制度を見直して創設される新制度であり、企業・監理支援機関・関係者にとって「いつから」「何が変わる」「何を準備すべきか」が分かりにくい制度でもあります。
本記事では、育成就労制度に関して公表されているFAQ等の内容をベースに、重要ポイントを整理しました。制度全体像の把握や社内説明、実務準備のたたき台としてご利用ください。

この記事で分かること

  • 育成就労制度の目的、開始時期(施行日)と施行日前申請の考え方

  • 技能実習・特定技能との違い(制度目的/想定人材/在留期間/手続の枠組み)

  • 転籍(本人意向転籍を含む)の要件・制限、監理支援機関/受入れ機関の主なポイント

  • 日本語要件(A1・A2)や講習の扱い、二国間取決め(MOC)など運用上の重要論点

  • 経過措置として、すでに在留している技能実習生がどう扱われるかの整理

※本記事は、育成就労制度に関する公表資料をもとに、要点をFAQ形式で整理したものです。制度の詳細・運用は今後更新される可能性があります。最新情報は、出入国在留管理庁の公式ウェブサイトでご確認ください。

目次

制度目的と施行時期(Q1〜Q10)

Q1 育成就労制度とはどのような制度ですか?

A 人手不足分野で、原則3年間の就労を通じて「特定技能1号水準」の人材を育成・確保する制度です。育成就労→特定技能へと制度を連続させ、外国人が就労しながらキャリアアップできる仕組みを目指します。

Q2 なぜ育成就労制度が創設されたのですか?

A 技能実習について「制度目的と実態の乖離」や「外国人の権利保護」の課題が指摘されてきました。加えて人手不足の深刻化と国際的な人材獲得競争の激化を踏まえ、人材育成+人材確保を制度目的として再設計されたのが育成就労です。

Q3 育成就労制度の運用開始と、特定技能制度の改正開始はいつですか?

A 令和9年(2027年)4月1日です。
なお、令和8年度に「監理支援機関の許可」「育成就労計画の認定」について施行日前申請の受付開始が予定されています(開始時期の詳細は今後の公表待ち)。

Q4 受入れ見込数(上限枠)は設定されますか?

A 特定技能と同様に、分野ごとの事情(生産性向上・国内人材確保の取組をしてもなお不足する人数等)を踏まえて、受入れ見込数=上限枠を設定して運用する方針です。

Q5 育成就労制度に関する主務省令はいつ公表されますか?

A 令和7年9月30日公布とされています(官報検索等で公布情報は確認可能です)。 

Q6 分野別運用方針・運用要領はいつ公表されますか?

A 現時点では未定。分野別運用方針・運用要領は、策定後に出入国在留管理庁の公式ウェブサイト等で公表される予定とされています。

Q7 必要な手続は、どこで確認できますか?

A 手続の詳細は、今後、出入国在留管理庁の公式ウェブサイト等で公表される予定とされています(運用開始前後で更新される見込み)。

Q8 監理支援機関の許可や育成就労計画の施行日前申請はどこへ?

A 詳細は今後、外国人技能実習機構等の案内で示される予定です。

Q9 育成就労外国人を受け入れられるのはいつからですか?

A 令和9年(2027年)4月1日からです(改正法施行日)。

Q10 育成就労計画の施行日前申請は、いつからできますか?

A 現時点では調整中で、後日公表予定とされています。

育成就労の基本事項(Q11〜Q20)

Q11 育成就労制度は、技能実習制度と何が違いますか?

A 最大の違いは制度目的です。

  • 技能実習:技能修得を通じた国際貢献

  • 育成就労:人手不足分野での人材育成・人材確保
    この目的差を踏まえ、育成就労では本人意向の転籍を一定条件で認めるなど、権利保護を強める方向で設計されています。

Q12 育成就労制度は、特定技能制度と何が違いますか?

A 想定人材が異なります。

  • 特定技能:一定の技能を持つ即戦力

  • 育成就労:入国時点で即戦力は不要(育成前提)
    また、在留期間の枠組み(育成就労は原則3年、特定技能1号は原則5年上限、2号は上限なし)や、保護・適正化の仕組み(計画認定や監理支援機関の許可等)も異なります。

Q13 育成就労で外国人は何年働けますか?

A 原則3年です。
ただし、3年後に特定技能1号移行試験に不合格の場合、最長1年の範囲で在留継続を認める方針とされています(条件付き)。

Q14 どの分野で働けるか(育成就労産業分野)はいつ決まりますか?

A 分野別運用方針で定められ、有識者会議の意見を踏まえて決定後、公表される想定です。

Q15 育成就労の目標(到達水準)は?

A 特定技能1号移行に必要な水準として、原則以下を求める方向です。

  • 技能:技能検定3級・特定技能1号評価試験等の合格

  • 日本語:日本語教育参照枠A2相当の試験合格(分野により上乗せあり得る)
    具体的な試験は分野別運用方針等で定める形です。

Q16 「主たる技能を定めて育成する」とは?

A 主たる技能の修得に必要な「必須業務」に、就労時間の3分の1以上従事する等により習得する設計です。

Q17 従事できる業務範囲は?

A 必須業務(3分の1以上)に加え、業務区分の範囲内で関連業務にも従事可能です。

Q18 「夏は農業・冬は漁業」のように複数分野で働けますか?

A 原則できません。人材育成の一貫性確保の観点から、分野をまたぐ就労は想定されていません。

Q19 派遣の形態で育成就労を実施できますか?

A 季節性のある業務を含む分野(農業・漁業を想定)で、派遣元・派遣先が共同で育成就労計画を作成し認定を受ければ可能、という整理です。

Q20 閑散期に一時帰国できますか?

A 可能です。ただし原則、帰国期間を除外して計画を立てることはできません。
例外として、季節性分野で派遣形態が認められる場合は、毎年同時期の一時帰国(最大6か月)を前提に、日本での就労合計が3年になる計画を立てる扱いが想定されています(旅費負担者の整理も必要)。

技能実習制度と育成就労制度(Q21〜Q26)

Q21 育成就労でも「単独型」「監理型」はありますか?

A あります。

  • 単独型育成就労(外国の支店・子会社社員等を受入れ、監理支援機関の関与なし)

  • 監理型育成就労(監理支援機関が関与)

Q22 技能実習で外国子会社社員を研修受入れしているが今後は?

A 短期研修のようなものは、新設予定の「企業内転勤2号」での受入れが想定されています。育成就労の趣旨に沿う3年育成型は、要件を満たせば単独型育成就労として受入れ可能という整理です。

Q23 技能実習の1号〜3号の区分は育成就労でもありますか?

A ありません。原則3年の計画を当初から作成して認定を受ける建付けです。

Q24 手続は技能実習と同じですか?

A 基本フロー(計画認定等)は近いものの、技能実習は段階ごとに認定が必要なのに対し、育成就労は当初から3年計画で認定を受ける点が異なります。

Q25 技能実習2号移行対象でも育成就労の対象外職種はありますか?

A 現時点(令和7年度の検討段階)では、例として

  • クリーニング(一般家庭用)

  • 空港グランドハンドリング

  • ボイラーメンテナンス
    が対象外とされています(追加の必要性は継続検討)。

Q26 施行時点で技能実習計画を中断している者は施行後に再入国できる?

A 令和9年4月1日時点で既に来日している者、または一定の経過措置(例:同日までに計画認定申請済みで、原則3か月以内に開始)に該当する場合を除き、再度技能実習での入国は不可。ただし内容によっては育成就労として計画認定を受ければ入国できる可能性がある、という整理です。

監理支援機関(Q27〜Q32)

Q27 監理支援機関は監理団体と何が違う?

A 機能は近いものの、育成就労では監理・支援・保護機能を強化する方向で許可要件が見直されます。転籍希望が出た場合の連絡調整等の役割も重要になります。

Q28 技能実習の監理団体は、そのまま監理支援機関になれる?

A なれません。新たに監理支援機関として許可を受ける必要があります。

Q29 許可基準は具体的にどう厳しく?

A 例として、外部監査人設置、債務超過がないこと、関与受入れ機関数の要件、常勤職員数と受入れ規模のバランス要件等が新設される想定です。

Q30 外部監査人の要件は?

A 養成講習受講、弁護士・社労士・行政書士等の有資格者または知見保有者、密接関係がないこと等が想定されています。

Q31 優良要件はある?

A あります。監査体制・実績・違反状況・相談対応体制・共生の取組等を総合評価し、優良と認められると受入れ人数枠拡大等のインセンティブが想定されています(詳細は今後明示)。

Q32 施行後に監理団体許可の期限が切れる場合は?

A 施行日後も技能実習生を受入れ中であれば更新が必要。ただし監理支援機関の許可を受けている場合、技能実習の一般監理事業許可を受けたものとみなされ、別途更新不要と整理されています。

受入れ機関(育成就労実施者)(Q33〜Q39)

Q33 育成就労実施者の要件は?

A 技能実習の要件を引き継ぎつつ、行方不明者発生、同種業務労働者の離職、法令遵守、送出機関等との金銭授受、労働条件の直接説明、協議会加入など、追加・強化要件が設けられます。

Q34 受入れ人数の上限は?

A 常勤職員数に応じた受入れ枠があります。優良なら拡大が想定。経過措置として、一定の技能実習生数もカウントに含める扱いが示されています。

Q35 指定区域とは?

A 大都市圏への過度集中を防ぐため、告示で定める地域(地方配慮)です。原則として東京都等の大都市圏以外+一部地域が指定対象とされる想定です。

Q36 指定区域かどうかはどちらで判断?

A 就労先ではなく、実施者の本店所在地で判断します。

Q37 育成就労指導員・生活相談員も講習修了が義務?

A 義務化される方向です。当分の間は技能実習の養成講習で代替する扱いが予定されています。

Q38 実施者の優良要件はある?

A あります。技能・日本語修得実績、体制、待遇、違反・問題発生状況、相談対応、共生取組等が考慮され、受入れ枠拡大等の措置が想定されています。

Q39 技能実習生は施行後も受入れ継続できる?

A 経過措置に該当する技能実習生は継続可能。1号→2号、一定要件で2号→3号移行も可能と整理されています(Q67〜Q68も参照)。

転籍(Q40〜Q47)

Q40 転籍できる要件は?

A ①人権侵害等のやむを得ない事情による転籍に加え、②新たに本人意向の転籍が一定条件で可能。転籍は同一業務区分内に限定

Q41 本人意向転籍の手続は?

A 本人が転籍希望を申し出 → 転籍先が育成就労計画を作成し機構へ認定申請、という枠組み。具体運用は決定次第公表予定。

Q42 転籍制限期間とは?

A 本人意向転籍の前に、現雇用先で一定期間就労することを求める期間。分野ごとに1年〜2年の範囲で設定予定。

Q43 1年超の転籍制限期間を、実施者が短縮できる?

A 分野別運用方針で1年超が定められた分野でも、実施者判断で1年にできる余地がある、という整理。ただし待遇向上措置等が必要になる想定です。

Q44 同一業務区分内で、主たる技能を変えられる?

A 望ましくはないが、可能とされています。

Q45 転籍者を受け入れる実施者の要件は?

A 優良な実施者であること、同一業務区分で従事させること、人数枠超過がないこと等が必要。

Q46 転籍者受入れの割合制限は?

A 本人意向転籍者が、受入れ先の育成就労外国人総数の3分の1超にならないこと等。大都市圏の場合は、地方からの転籍者比率に追加制限(6分の1)がかかる整理です(小規模例外あり)。

Q47 転籍元は初期費用の補填を受けられる?

A 本人意向転籍では、転籍先が一定金額を転籍元へ支払う設計。金額は主務大臣告示(今後制定)で定め、在籍期間に応じて按分する方向です。

育成就労外国人の地位関連(Q48〜Q53)

Q48 入国時の技能・日本語要件は?

A 入国時点での技能要件はなし。ただし就労開始前までに、A1相当以上の試験合格または認定日本語教育機関等での講習(100時間以上)を求める建付け。

Q49 前職要件・帰国後従事要件はある?

A 技能実習にあった要件(前職要件・帰国後従事要件)は、育成就労では求めない整理です。

Q50 通算期間の考え方(一時帰国は含む?)

A 季節性分野の例外では、帰国期間は通算に含めず、合計就労が3年となるよう計画を作成する扱い。

Q51 家族帯同はできる?

A 原則不可

Q52 妊娠・出産等で継続困難になった場合は?

A 実施者は届出が必要。機関側は母子手帳等の案内、継続意思確認、帰国希望時の手続説明、給付制度の説明等、本人希望を踏まえた対応が求められます(中断→再開の場合は計画変更認定が必要)。

Q53 過去に特定技能だった人は育成就労できる?

A 特定技能1号の通算上限まで在留済み等、特定技能へ移行余地がない者は育成就労になれない整理です。

日本語能力(Q54〜Q60)

Q54 日本語要件はどの程度?

A 3年間でA2相当の習得・試験合格を目標。中間評価として、開始1年以内にA1相当の習得・試験受験が求められる整理です(分野により上乗せあり得る)。

Q55 日本語講習はどこでどう受ける?

A 入国後講習で、認定日本語教育機関の「就労」課程A1相当講習100時間以上(A1試験合格なら不要)。3年の間にA2相当講習100時間以上の受講機会提供義務も想定(A2試験合格済みなら不要)。当分の間は登録日本語教員の授業で代替の余地あり。

Q56 オンライン受講は可能?

A 可能。ただし双方向同時コミュニケーション等の要件を満たす必要があります。

Q57 講習費用は誰が負担?

A 実施者または監理支援機関側で、費用負担を含め必要措置を講じる建付け。

Q58 A1試験に合格しないと入国できない?

A 入国不可ではありません。就労開始前までに、試験合格または講習受講が必要という整理です。

Q59 すでにA1合格済みでも入国後講習で日本語履修は必要?

A 認定日本語教育機関等によるA1講習義務は課されないが、入国後講習で日本語科目の受講自体は必要(認定機関の講習でなくても可)、という整理です。

Q60 A2目標講習の受講時間は労働時間扱い?

A 労働時間として扱うことを義務付けるものではない、という整理です。

二国間取決め関係(Q61〜Q63)

Q61 どこの国からでも受入れできる?

A 原則として、二国間取決め(MOC)を作成した国からのみ受入れ、とされています。

Q62 二国間取決めの目的・内容は?

A 不適正送出機関の排除、外国人が支払う費用基準の遵守等、保護と適正運用を目的に盛り込む予定です。

Q63 送出機関に支払う費用が上限(月給2か月)を超える場合は?

A 超える部分は、実施者または監理支援機関が負担する整理です。

育成就労制度と特定技能制度(Q64〜Q65)

Q64 育成就労→特定技能1号移行要件は、技能実習からの移行と同じ?

A 異なります。技能実習2号良好修了の免除のような扱いではなく、原則、技能試験+日本語試験(A2相当以上)合格が要件。不合格の場合は最長1年の在留継続余地が示されています。

Q65 育成就労の途中で特定技能1号へ移行できる?

A 技能・日本語の移行要件を満たし、かつ現所属先での就労期間が一定期間を超える場合に限り、移行を認める方針とされています(具体運用は今後明示)。

技能実習生の今後(Q66〜Q69)

Q66 元技能実習生が再来日して育成就労で働ける?

A 過去の技能実習期間は育成就労期間とみなされ、2年以上の技能実習を行った者が再来日して、異分野で育成就労を行うことは基本的にできない整理です。

Q67 制度開始時にすでに来日している技能実習生は?

A 原則、認定計画に基づき技能実習を継続可能。1号→2号移行も可能。3号は一定条件(施行日時点で2号を1年以上等)に限定する整理です。

Q68 技能実習3号への移行要件は?

A 施行日(令和9年4月1日)時点で、2号技能実習生として1年以上技能実習を行っていることが必要。確認方法は今後整理予定。

Q69 育成就労開始後も技能実習→特定技能1号移行は可能?

A 当分の間、2号良好修了+職種作業の関連性が認められる場合、技能実習→特定技能1号移行は可能、とされています。

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