「取引先から、急いで全省庁統一資格を取ってほしいと言われた」
「社長から、防衛省の入札に参加できるようにしておいてと言われた」
そんなタイミングで初めて「全省庁統一資格」という言葉を知る方も多いのではないでしょうか。
名前だけ聞くと難しそうですが、
ざっくり言うと 「国の機関が行う物品や役務の入札に参加するための共通パスポート」のような資格です。
(※正式名称は「一般競争(指名競争)参加資格審査に基づく全省庁統一資格」です。)
このページでは、
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全省庁統一資格とは何か
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どのような入札で使えるのか
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どの業種が対象なのか
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資格の有効期間や適用範囲
といった「まずここだけ押さえておけばOK」という基礎を、やさしく整理して解説します。
全省庁統一資格は「国の機関の入札に参加するための資格」
入札は「誰でもいつでも参加できる」わけではない
国の機関や自治体が物品やサービスを調達するとき、多くの場合「入札」という形で業者を選定します。
ただし、入札であれば誰でも自由に参加できるわけではなく、事前に「入札参加資格」を取得していることが前提です。
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東京都の入札 → 「東京都の入札参加資格」が必要
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福岡県の入札 → 「福岡県の入札参加資格」が必要
といった具合に、発注者ごとに入札参加資格が決まっているのがポイントです。
同じように、防衛省・財務省・環境省・法務省…といった「国の機関(省庁)」の入札に参加するために必要なのが「全省庁統一資格」です。
「全省庁統一資格の申請」を行い、審査に通ると「資格審査結果通知書」が発行され、晴れて国の機関の入札に参加できるようになります。
「所在地」ではなく「発注者」で考える
よくある勘違いの一つに、こんなものがあります。
「◯◯省は東京にあるから、東京都の入札参加資格があれば、その省の案件にも参加できるのでは?」
しかし、入札で重要なのは 「所在地」ではなく、あくまで“誰が発注者か” です。
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たとえば、環境省の入札
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発注者は「環境省」そのもの
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必要なのは「全省庁統一資格」
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一方で、同じ東京にある「都庁」や「警視庁」の入札
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発注者は「東京都」や「東京都公安委員会」
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必要なのは「東京都の入札参加資格」
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このように、どの入札参加資格を取るべきかは、所在地ではなく「発注機関(誰が発注しているか)」で判断します。
また、独立行政法人や国立研究開発法人の中には、「全省庁統一資格を有する事業者を対象とする」と明記している機関もあります。たとえば JAXA(宇宙航空研究開発機構)では、物品調達を行う際、全省庁統一資格を持っていることが入札参加の前提条件となるケースがあります。
このように、国の省庁だけでなく、“国と密接に連携する法人”の案件でも、同資格が求められる場面が増えています。
※各機関の最新の入札要件は、必ず公告・入札説明書をご確認ください。
どの機関の入札で使える資格なのか?
全省庁統一資格が有効となるのは、次のような国の機関です(抜粋・要約)。
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衆議院・参議院・国立国会図書館・最高裁判所・会計検査院
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内閣官房・内閣府本府・宮内庁・人事院・内閣法制局
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公正取引委員会・警察庁・金融庁・消費者庁・個人情報保護委員会・カジノ管理委員会・こども家庭庁・デジタル庁・復興庁
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各省(総務省・法務省・外務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省・防衛省)
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それぞれの外局・附属機関・地方支分部局 など
つまり、中央省庁およびその地方出先機関の物品・役務の調達案件に、共通のルールで参加できる資格というイメージです。
対象となる業種(4つの資格と営業品目の概要)
全省庁統一資格で対象となるのは、「物品の製造・販売等」に関する入札です。
大きく分類すると、次の4つの資格種別に分かれています。
▶ 物品の販売 👉営業品目一覧はこちら
▶ 役務の提供等(各種サービス・委託業務など)👉営業品目一覧はこちら
▶ 物品の買受け(不要物品の買い取り等)👉営業品目一覧はこちら
それぞれの区分には、さらに細かい営業品目が設定されており、
機械・OA機器・IT関連・印刷物・広告・清掃・保守・輸送・医療用品など、
多岐にわたる分野を対象としています。
なお、公共工事(建設工事)は本制度の対象外で、別の資格制度(建設業許可・工事の競争参加資格)で取り扱われます。
全国8つの「競争参加地域」―どこで仕事をしたいか?
全省庁統一資格を申請する際は、入札に参加したい地域(競争参加地域)を、次の8ブロックから選択します。
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北海道
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東北(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)
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関東・甲信越(茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野)
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東海・北陸(富山・石川・福井・岐阜・静岡・愛知・三重)
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近畿(滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)
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中国(鳥取・島根・岡山・広島・山口)
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四国(徳島・香川・愛媛・高知)
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九州・沖縄(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)
重要なのは、その地域に営業所がなくても参加地域として選べるという点です。
たとえば、福岡県内にしか事務所がない場合でも、「近畿」や「関東・甲信越」「北海道」などを含め、全国すべての地域を競争参加地域として選択することができます。
実務上、
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申請時に地域を絞っても、審査が通りやすくなるわけではない
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落札後に実際に対応できる体制があるかどうかが重要
という性質のものなので、特別な事情がない限り、広めの地域を選択しておくケースが多く見られます。
資格の有効期間:最大3年間(令和7・8・9年度)
「年度ごとの3年サイクル」で運用されている
全省庁統一資格の有効期間は、3年度ごとのサイクルで管理されています。
現在のサイクル(2025年11月現在)は、
令和7・8・9年度分(令和7年4月1日~令和10年3月31日)
となっており、この期間に有効な資格を取得するための申請が受け付けられています。
ここで注意したいのは、
「資格を取った日から3年間有効」という仕組みではない
という点です。
例えば、令和8年の途中で資格を取得した場合でも、有効期限は令和10年3月31日までとなり、
資格を使える期間は3年より短くなります。
定期審査 と 随時審査
受付方法には大きく2種類あります。
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定期審査(定期受付)
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3年に一度、決められた期間にまとめて行われる受付
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このタイミングで申請すれば、原則として3年間フルで資格を使える
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随時審査(随時受付)
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定期審査終了後も、次の定期審査まで継続して受付
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ただし、申請時期によっては、有効期間が短くなる
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令和7・8・9年度分については、
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定期審査の受付は令和7年1月に終了
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その後は、令和7年2月1日~令和10年3月10日まで「随時審査」として受付
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資格の有効期間は、付与日~令和10年3月31日まで
という運用になっています。
希望する入札への参加に間に合わせるためには、余裕を持ったスケジュールで申請することが極めて重要です。
全省庁統一資格を取得するメリット
1回の申請で、全国の省庁案件にアクセスできる
従来は省庁ごとにバラバラに資格申請を行う必要がありましたが、全省庁統一資格制度により、1回の申請で全国の省庁案件に参加できる仕組みが整えられました。
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申請窓口は「いずれか1か所」でOK
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付与された資格は、選択した地域内のすべての調達機関で有効
という点は、中小企業や新規参入企業にとって大きなメリットです。
新規設立法人や外国事業者にも門戸が開かれている
全省庁統一資格は、
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設立から間もない新規法人(決算未了)
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日本国内に支店がない外国事業者
でも取得可能とされています(条件あり)。
もちろん、提出書類や審査方法に一定のルールはありますが、
「歴史ある大企業でなければ申請できない」という性質のものではないため、
これから官公庁分野に参入したい事業者にもチャンスがあります。
信用力の向上・新しい販路開拓
全省庁統一資格を取得すると、
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官公庁案件に参加できる
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企業情報が、有資格者名簿やオープンデータとして公開される
という性質上、
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官公庁との取引を通じて信用力を高めたい
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既存の民間取引に加えて、新しい販路(公共調達)を開拓したい
といった場面でも、大きな意味を持つ資格と言えます。
まとめ:まずは「全体像」を押さえるところから
ここまでが、「全省庁統一資格とは何か?」という入口部分の整理です。
ポイントのおさらい
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全省庁統一資格は、国の機関が行う物品・役務等の入札に参加するための共通資格
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対象は「物品の製造」「物品の販売」「役務の提供等」「物品の買受け」の4区分
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全国8ブロックの競争参加地域を選び、広域での案件に参加可能
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有効期間は3年度単位(現在は令和7・8・9年度分)
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新規設立法人や外国事業者にも申請の門戸が開かれている
行政書士トラスト事務所のサポート
全省庁統一資格は、初めて調べる方にとって少し複雑に感じられる制度ですが、基礎を押さえておけば、申請自体は決して難しい手続きではありません。
「自社の場合はどの区分で申請すべきか?」
「必要書類は何か?」
「いつまでに申請すれば、希望する入札に間に合うか?」
といった点は、会社の状況によって変わります。
当事務所では、中小企業・スタートアップ企業・外国企業の全省庁統一資格申請をサポートしています。
はじめての方でも安心して申請できるよう、要件整理から申請書の作成まで丁寧に対応いたします。
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