- 1 制度創設の背景|「就労・生活」領域で“質の担保”が求められた
- 2 認定制度の概要|「法務省告示機関」から「文科省認定」へ
- 3 認定の効果|「多言語で公表」「表示を付して募集できる」
- 4 認定は「機関単位」だが、審査は「課程別」
- 5 設置者の要件|まず“経営体力・運営体制・欠格”が見られる
- 6 認定基準の全体像(就労・生活)
- 7 教員・職員体制|「登録日本語教員が原則」「校長・主任教員・事務統括」
- 8 施設・設備|「面積」「自己所有原則」「風俗施設NG」「教室環境」まで明示
- 9 日本語教育課程(就労)|「B1」「授業時数」「5技能」「オンラインは3/4まで」
- 10 学習上・生活上の支援体制|就労課程は「企業等との連携実績」が要件に入る
- 11 情報公表・自己点検評価・定期報告|認定後の義務も重い
- 12 教員資格|登録日本語教員が原則、ただし5年の経過措置あり
- 13 申請〜認定のスケジュール|年2回、事前相談が必須
- 14 就労課程を作る方向け「自己診断チェックリスト」
- 15 認定日本語教育機関の検索🔍
- 16 行政書士トラスト事務所について
- 17 📩 Contact(お問い合わせ・連絡)
制度創設の背景|「就労・生活」領域で“質の担保”が求められた
日本語学習者数は増加傾向にある一方で、日本語教育の現場には共通課題があるとされています。
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教育の質を確保する仕組みが不十分
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学習者・自治体・企業が、教育水準などの正確で必要な情報を得にくい
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専門性ある日本語教師の質的・量的確保が不十分
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地域差(教育機関・養成機関の偏在)
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全国の学習機会のため、オンライン環境整備も必要
この課題に対し、制度として
①一定要件を満たす「認定日本語教育機関」
②教員資格(登録日本語教員)
を整備する方向で進められています。
認定制度の概要|「法務省告示機関」から「文科省認定」へ
認定の趣旨
日本語教育の適正・確実な実施を図り、外国人が日本で日常生活・社会生活を円滑に営める環境整備に寄与すること。
認定の主体
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これまで(留学告示):法務大臣
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これから(認定日本語教育機関):文部科学大臣
「就労課程」の定義
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就労のための課程:主として日本で就労する者に対し、就労に必要な水準の日本語能力を習得するための教育を行う日本語教育課程
認定の効果|「多言語で公表」「表示を付して募集できる」
認定を受けると、次が制度上の“メリット”として整理されています。
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文部科学大臣が、認定機関情報を多言語でインターネット等により公表
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認定機関は、生徒募集の広告等に文部科学大臣が定める表示を付すことが可能
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これにより、外国人本人・企業等が、教育水準などの情報を得て適切に機関選択できるようにする
※重要:認定を受けない機関が日本語教育を行うこと自体は可能とも明記されています(ただし「認定機関」を名乗ることは別問題)。
認定は「機関単位」だが、審査は「課程別」
認定は機関単位で行う一方、審査は
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留学のための課程
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就労のための課程
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生活のための課程
の別に行う、と整理されています。
つまり「就労課程を置きたい」場合、就労課程の基準に沿った設計・体制が必要です。
設置者の要件|まず“経営体力・運営体制・欠格”が見られる
就労課程を置く認定機関の申請では、設置者(運営主体)の審査が明確にあります。
設置者になれる者(概要)
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国・地方公共団体等
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それ以外の場合、次の要件を満たすこと(経済的基礎/知識・経験/社会的信望)
「経済的基礎」チェック
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当面(1年以上が望ましい)の運用資金を保有
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設置者として債務超過でない
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過去に債務超過があった場合は、解消後も債務超過でないこと、かつ一定期間の営業利益が黒字であること等を確認
さらに特徴的なのが次です:
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生徒募集等で第三者に仲介料を払う場合、授業料等との比較で相当程度高額でないこと
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日本語教育以外の事業を行う場合、会計・収支を区分管理し、日本語教育の運営に支障がないこと
欠格事由
入管法違反・不正行為・暴力団関係等、欠格が列挙されています。
ここは「学校を作る人」向けに重要で、役員を含めてチェック対象になります。
認定基準の全体像(就労・生活)
就労課程(+生活課程)の認定基準は、次の5領域に整理されています。
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総則
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教員及び職員の体制
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施設及び設備
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日本語教育課程
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学習上・生活上の支援体制
以下、数字も含めて要点をまとめます。
教員・職員体制|「登録日本語教員が原則」「校長・主任教員・事務統括」
必置の役割
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校長(兼務の場合は副校長)
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主任教員
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事務を統括する職員
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(支援体制として生活指導担当者等の位置づけも出てきます)
校長の要件の特徴
「運営に必要な識見」を審査するにあたり、法令理解だけでなく、
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人事管理(配置・分掌)
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生徒管理
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施設設備の保全管理
など、学校運営の実務知見が確認対象です。
また「教育に関する業務経験」も、教員経験だけでなく、教育機関での経営・管理経験等も幅広く含む一方、一定規模の組織を有しない学習塾などはここでいう教育経験に当たらない旨が明示されています。
主任教員の要点
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教育課程編成・他教員指導の能力
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原則として本務等教員
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本務等教員として3年以上経験
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就労・生活分野では「企業・自治体と連携した課程編成」等、コーディネーター能力が確認対象
教員数(就労課程ごとの計算)
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同時に授業を受ける生徒20人につき教員1人以上(最低3人)
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同時に授業を受ける生徒40人につき本務等教員1人以上(最低2人)
(大学・専門学校が一定条件で認定を受ける場合の例外も記載あり)
授業担当上限(週)
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日本語指導歴1年以上:25単位時間
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1年未満:20単位時間
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校長/副校長/主任教員:20単位時間
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校長(副校長)+主任教員兼務:10単位時間
※「兼務を認めるが、役割を果たせるかを慎重審査」
施設・設備|「面積」「自己所有原則」「風俗施設NG」「教室環境」まで明示
立地・環境
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同じ建物または近接建物内に、風俗営業・性風俗関連特殊営業の施設がない等
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耐震性等、社会通念上必要な構造
校地・校舎は「自己所有が原則」
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校地:自己所有・負担なしが原則(例外要件の列挙あり。賃借なら20年以上など)
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校舎:自己所有が原則(校地と同様の例外)
※「10年以上教育機関運営してきた者」等の例外枠もありますが、その適正性を総合判断すると明示されています。
面積要件
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校舎:115㎡以上 かつ 同時に授業を受ける生徒1人当たり2.3㎡以上
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教室:同時に授業を行う生徒1人当たり1.5㎡以上
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校舎は原則3カ所以内、校舎間は概ね800m以内
必要室(代替可のものあり)
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教室、教員室、事務室、図書室、保健室等
ただし図書室・保健室は 近隣の図書館・病院等との連携で代替可能。
教室の環境(地下・窓なしは原則NG)
地下教室や窓なし教室でも、一定要件を満たせば例外的に認めうることが詳細に書かれています(換気・湿度・学校環境衛生基準等)。
日本語教育課程(就労)|「B1」「授業時数」「5技能」「オンラインは3/4まで」
目標水準
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「留学課程」を置かない場合、B1以上を目標とする課程を1つ以上置く
授業時数(単位時間ではない点が明記)
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B1:350時間以上
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A2:200時間以上
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A1:100時間以上
授業科目の設計要件
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目的・目標、生徒の能力に応じて、科目を体系的に開設
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担当能力ある教員が適切教材で教授
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課程全体に 「聞く/読む/話す(やり取り)/話す(発表)/書く」のすべてを盛り込む
オンライン授業の上限
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対面相当の同時双方向の遠隔授業を、総授業時数の3/4まで実施可
“一部履修”も制度上可能
就労課程(または生活課程)の授業科目の一部を体系的に履修する課程を編成でき、
修業期間の一部のみ・5技能の一部のみ履修させることもできる、と明記されています。
学習上・生活上の支援体制|就労課程は「企業等との連携実績」が要件に入る
就労課程で特に重要なのはここです。
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学習困難を抱える生徒への支援(母語支援等)の体制
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出席状況の把握・指導体制
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災害等に備えた転学支援計画等
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生活上の支援(情報提供・外部機関連携)
そして就労課程の“固有要件”として:
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外国人を雇用する事業主等と連携して教育課程を編成する等の相当の実績に基づき、連携体制をつくること
と整理されています。
情報公表・自己点検評価・定期報告|認定後の義務も重い
国による公表(文科省ポータル)
公表項目として、設置者情報、課程目的・目標・収容定員、授業料、支援体制等が列挙されています。
機関自身による情報公表
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設置者情報
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認定機関の名称・所在地
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授業科目と内容
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生徒・教職員数
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授業料等
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学則
自己点検評価(年1回以上・公表)
評価項目が具体に指定されています(理念・目的達成、組織運営、施設設備、課程編成実施、成果、支援、改善仕組み、財務等)。
定期報告(毎年6/30まで)
収支・資産負債、教職員体制、教材・担当教員、出席率、成果、退学者等、かなり詳細に報告。
さらに帳簿保存(原則5年、学籍は20年)も明記。
教員資格|登録日本語教員が原則、ただし5年の経過措置あり
就労・生活課程の認定基準では、教員は「登録日本語教員」が原則と整理されています。
一方で、令和11年3月31日までの5年経過措置期間は、一定要件を満たす人は登録資格がなくても教員として勤務可能、と明示されています(420時間+学位、26単位+学位、検定合格者、1年以上従事経験等)。
申請〜認定のスケジュール|年2回、事前相談が必須
公式資料で明確です。
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申請前に文科省への事前相談が必須
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事前相談の2週間前までに書類一式を整えて提出
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事前相談は1機関1回のみ
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審査は書面一次・二次、必要に応じ実地確認、面接等
スケジュール(例)として年2回:
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1回目:事前相談4〜5月 → 申請5月下旬締切 → 認定10月頃 → 開設翌4月頃
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2回目:事前相談9〜10月 → 申請10月下旬締切 → 認定4月頃 → 開設10月頃
就労課程を作る方向け「自己診断チェックリスト」
A. 設置者(運営主体)
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当面1年以上の運用資金を保有している
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債務超過ではない(過去債務超過があるなら、解消後の実績説明ができる)
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仲介料等が授業料等と比べて不相当に高額ではない
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他事業と会計・収支を区分し、日本語教育の運営に支障が出ない
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役員含め欠格事由に抵触しない
B. 人員配置(必置役職と人数)
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校長(兼務なら副校長)を置ける(識見・経験の説明ができる)
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主任教員を置ける(就労分野の連携型課程編成の能力を説明できる)
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事務統括職員を置ける
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教員数:同時受講20人につき1人(最低3人)
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本務等教員:同時受講40人につき1人(最低2人)
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週担当授業時数が上限目安内に収まっている
C. 施設
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校舎が115㎡以上、かつ2.3㎡/人を満たす
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教室が1.5㎡/人を満たす
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立地が教育・衛生上適切(近接に風俗・性風俗施設なし等)
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地下・窓なし教室に該当するなら例外要件を満たせる
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図書室・保健室を置かないなら、連携で代替できる根拠を用意できる
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校地・校舎は自己所有が原則(賃借なら例外要件に乗るか確認)
D. 課程設計
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B1以上を目標とする課程を置く(留学課程を置かない場合)
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授業時数:B1=350h/A2=200h/A1=100h以上
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5つの言語活動(聞く/読む/話すやり取り/話す発表/書く)を課程全体に組み込む
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遠隔授業は総授業時数の3/4まで
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一部履修課程を設ける場合の設計方針がある
E. 連携実績
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企業(外国人雇用事業主等)と連携して課程編成した等の「相当の実績」がある
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連携体制を“これから作る”ではなく、実績として説明できる
F. 認定後の運用(義務)
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情報公表(指定項目)を実施できる
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自己点検評価を毎年行い、公表できる
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毎年6/30までの定期報告を回せる
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帳簿保存(5年/学籍20年)を運用できる
認定日本語教育機関の検索🔍
認定日本語教育機関については、文部科学省が「認定日本語教育機関認定法ポータル」を通じて、認定機関の基本情報等を多言語で公表する仕組みを整備しています。
そのため、どの団体が「認定日本語教育機関」として認定されているか、また「就労のための課程」を実施しているかどうかは、次の公式サイトで確認できます。
なお、2026年1月15日時点の表示では、認定日本語教育機関のうち「就労課程」を実施している機関は、3機関とという状況です。(※登録数・掲載内容は随時更新されるため、最新情報はポータル上で必ずご確認ください。)
行政書士トラスト事務所について
認定日本語教育機関の設立・運営は、教育内容だけでなく、設置者要件(財務・運営体制)や、申請前の事前相談、規程整備、必要書類の整合など、制度対応が多岐にわたります(事前相談が必須である点も要注意です)。
弊所では、認定日本語教育機関の制度要件を踏まえ、設立スキームの整理、必要書類・規程作成支援、申請準備の伴走(関係機関への照会を含む)など、機関設立に向けたサポートも対応可能です。
「自社(自団体)が要件を満たせるか判断が難しい」「どの段階から準備を進めるべきか整理したい」といった場合にも、制度要件を踏まえた形でご相談に対応しています。
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