はじめに|育成就労制度における日本語要件の位置づけ
育成就労制度では、外国人が日本で就労しながら技能を修得し、将来的に特定技能へ移行していくことを前提として、日本語能力の向上が制度の重要な要素として位置づけられています。
制度上、日本語能力については、
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就労開始前までに求められる水準
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就労期間中に目標とされる水準
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試験と講習の関係
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講習時間や実施方法の考え方
などが段階的に整理されており、複数の公式資料に分散して示されています。
本記事では、出入国在留管理庁が公表している公式資料のみをもとに、育成就労制度における日本語要件について、制度全体の流れが分かるよう整理します。
育成就労制度における日本語要件の全体像
育成就労制度における日本語能力要件は、単一の基準ではなく、段階的に設計されています。
大きな流れは次のとおりです。
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就労開始前まで:A1相当の日本語能力
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育成就労期間中:A2を目標とした日本語能力の向上
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将来:特定技能1号・2号への移行を見据えた能力水準
重要なのは、日本語能力を「入口要件」としてだけでなく、育成の一部として位置づけている点です。
A1・A2とは何か
CEFRとは
A1・A2は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)に基づく言語能力の段階を示す指標です。
日本語教育分野でも、公式に採用されている枠組みです。
A1相当の日本語能力
公式資料では、A1相当の日本語能力について、概ね次のような水準が想定されています。
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ごく基本的な日常表現が理解できる
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上司や同僚から、簡単で定型的な指示を受けて作業ができる
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顧客対応を伴わない業務が中心
JLPTではN5相当が代表例として挙げられています。
A2相当の日本語能力
A2相当では、A1より一段階高い能力が想定されます。
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身近で日常的な話題について、限定的なやり取りが可能
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定型的な業務であれば、職場内でのやり取りができる
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顧客等との簡単なコミュニケーションが想定される場合もある
JLPTではN4相当が例示されています。
「試験」と「講習」はどう位置づけられているか
A1相当:試験または講習
就労開始前までに、育成就労外国人は次のいずれかを満たす必要があります。
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A1相当の日本語能力試験に合格
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A1相当の日本語講習を受講
試験と講習は代替関係にあり、どちらか一方で足ります。
A2相当:試験合格ではなく「講習機会の提供」
育成就労終了までに求められているのは、
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A2相当の日本語能力を目標とした講習の受講機会を提供すること
です。
A2相当の試験にすでに合格している場合は、講習を受講させる必要はありませんが、原則としては「合格義務」ではなく「講習機会の確保」が制度上の要件となっています。

「100時間等」の正確な意味
なぜ「等」と書かれているのか
公式資料では、日本語講習について「100時間等」という表現が用いられています。
これは単なる時間数ではなく、
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講習の内容
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実施方法
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教育体制
を含めた質的要件を伴うことを示すための表現です。
A1相当講習・A2目標講習の基本整理
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原則:認定日本語教育機関の「就労」課程
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経過措置:
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登録日本語教員による講習も可
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同時受講者20人以下等の要件あり
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オンライン講習:
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実施可能
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双方向での同時コミュニケーションなど、一定の要件が必要
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「100時間やれば足りる」という理解は不正確である点に注意が必要です。
入国前講習・入国後講習と日本語講習の関係
日本語講習は、入国前講習・入国後講習と密接に関係しています。
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A1試験に合格していない場合
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A1試験に合格している場合
で、総講習時間や日本語講習の扱いが異なります。
また、入国前講習は一定時間を超えて実施しても、入国後講習の時間として加算されない点は、注意が必要です。
「日本語講習を誰が・どう設計するか」という論点
制度上、日本語講習の提供は育成就労実施者の義務とされていますが、必ずしも一つの方法に限定されているわけではありません。
重要なのは、
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制度要件を満たしているか
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実務として機能する内容か
-
将来の特定技能移行を見据えた設計になっているか
という点です。
日本語講習は「誰が実施するか」だけでなく、「どのように設計されているか」が問われる制度構造となっています。
まとめ
育成就労制度の日本語要件は、
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A1・A2という段階的設計
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試験と講習の代替関係
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「100時間等」による質的要件
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入国前・入国後講習との関係
を正確に理解しなければ、誤った対応につながります。
制度はまだ施行前であり、今後、分野別運用方針等によって詳細が補足される予定です。
本記事は、出入国在留管理庁が公表している公式資料(2026年1月時点)をもとに作成しています。
育成就労制度は施行前の制度であり、分野別運用方針や今後の法令改正等により、内容が変更される可能性があります。
個別の事案については、必ず最新の公式情報をご確認のうえ、専門家へご相談ください。
日本語講習について
日本語講習そのものについては、制度上、一定の場合において認定日本語教育機関等による講習の実施が求められています。
一方で、育成就労制度における日本語能力要件は、単に「誰が講習を実施するか」だけで判断されるものではなく、
実務として機能する内容・設計がなされているかという点が重視される制度構造となっています。
当事務所では、行政書士としての制度理解に加え、日本語教師としての実務経験を踏まえ、
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現場の業務内容や勤務形態を考慮した日本語講習の設計
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講習が形式的なものにとどまらないための補助的な日本語教育の整理
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制度要件と実務運用の双方を見据えた実務フローの整理
といった観点から、日本語教育に関する実務面の整理・設計に関与することが可能です。
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