受入れ企業の責務とは?|育成就労制度で企業に求められる義務と注意点

はじめに|「受入れ企業の責務」を先に押さえるべき理由

育成就労制度では、外国人本人の要件だけでなく、受入れ企業側(育成就労実施者)の体制・運用の適正さが制度の根幹になります。
制度開始後に「要件未充足」が判明すると、是正指導や計画運用の見直しが必要になり、現場負荷が一気に高まります。

本記事では、出入国在留管理庁が公表している制度資料に基づき、受入れ企業に求められる責務を、実務担当者向けに整理します。
(※施行前の制度であり、今後の省令・告示・分野別運用方針等で補足・変更され得ます。)

受入れ企業(育成就労実施者)に求められる責務の全体像

受入れ企業の責務は、概ね次の5領域に整理できます。

  1. 待遇(賃金・差別禁止・休暇等)

  2. 生活支援・健康把握・住環境

  3. 育成就労を継続できる社内体制(責任者等の選任)

  4. 講習(入国後講習・日本語講習)の実施と費用負担

  5. 監査・実地確認への対応(制度運用の“監督される前提”)

以下、順に見ていきます。

待遇に関する責務|「同等以上の報酬」「差別禁止」は明示要件

育成就労実施者は、育成就労外国人の待遇について要件を守る必要があるとされています。代表的なものは次のとおりです。

  • 報酬が、日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上であること

  • 育成就労外国人であることを理由に、報酬決定等で差別的取扱いをしないこと

  • 一時帰国希望がある場合に必要な有給休暇を取得させる運用 など

この部分は、制度設計として“努力義務”ではなく、満たしていることが前提となる要件として整理しておくのが安全です。

生活支援・住環境|「住まい」「健康・生活状況の把握」まで含まれる

受入れ企業には、労務面だけでなく、生活面の支援措置が要件として示されています。

  • 適切な宿泊施設の確保

  • 健康の状況その他の生活の状況を把握するために必要な措置

ここは、実務上「社宅を用意すれば終わり」ではなく、
生活が破綻しない導線(相談先・緊急時・体調不良時の対応など)を設計しておくべき領域です。

体制整備の責務|責任者・指導員・生活相談員の選任が前提

育成就労実施者側の体制として、少なくとも以下の役割が想定されています。

  • 育成就労責任者(関与職員を監督できる立場、養成講習修了等)

  • 育成就労指導員(技能面の指導、経験年数や養成講習等)

  • 生活相談員(生活上の相談・助言担当、養成講習等)

また、雇用契約締結時の説明について、労働条件等の待遇を直接またはオンラインで説明することが示されています。

つまり、制度上は「現場任せ」ではなく、担当者を置き、説明と運用を回す設計が前提です。

講習対応の責務|入国後講習+日本語講習は“企業側の運用項目”

入国後講習:日本語だけではない(生活・法令違反時の対応等)

入国後講習の科目として、以下のことが示されています。

  • 日本語

  • 本邦での生活一般に関する知識

  • 法令違反を知ったときの対応方法等(法的保護に必要な情報)

  • 円滑な技能修得に資する知識

また、講習実施中は業務に従事させない等の運用条件も示されています。

日本語講習:A1/A2は「義務のかけ方」が違う

日本語能力向上策として、

  • 就労開始前まで:A1相当の試験合格またはA1相当講習受講

  • 育成就労終了まで:A2目標の日本語講習の受講機会の提供
    が示されています。

さらに重要なのは、A1相当講習・A2目標講習の提供は、育成就労実施者の義務(費用負担が必要)と明記されている点です。オンライン受講も可能だが、双方向性など一定要件が必要です。

監査・確認への対応|「監理される前提」で運用を設計する

監理型の場合、監理支援機関が受入れ企業に対して、

  • 3か月に1回以上の頻度で実地監査

  • 受入れ開始から1年超までは、1か月に1回以上の実地確認等
    を行うことが示されています。

つまり、受入れ企業側は「書類だけ整える」ではなく、運用の実態(講習、生活支援、労務、計画どおりの育成)が説明できる状態を平時から作っておく必要があります。

実務担当者向けチェックリスト

最後に、受入れ企業が「今すぐ」確認すべきポイントを、出入国在留管理庁が公表している公式資料に基づき整理します。

  • 待遇:同等以上賃金/差別なし/一時帰国希望時の休暇運用

  • 住環境・生活:宿泊施設確保/健康・生活状況の把握措置

  • 体制:責任者・指導員・生活相談員の選任要件を満たすか

  • 入国後講習:科目設計、実施中は業務に従事させない等の運用条件

  • 日本語講習:A1(試験or講習)/A2(受講機会提供)+費用負担

まとめ|受入れ企業の責務は「労務」だけでなく「育成運用」そのもの

育成就労制度では、受入れ企業に求められる責務が、待遇・生活・講習・体制・監査対応まで広く設計されています。
制度開始後に慌てないためには、計画書面の整合性と同時に、現場で回る設計(誰が、いつ、何をするか)を先に作っておくことが不可欠です。

本記事は、出入国在留管理庁が公表している資料に基づき作成しています。育成就労制度は施行前の制度であり、今後の法令・省令・分野別運用方針等により内容が変更される可能性があります。個別の事案については、必ず最新の公式情報をご確認のうえ、専門家へご相談ください。

当事務所ができること

育成就労制度は、単に制度を理解していれば対応できるものではなく、

  • 書類の整合性

  • 受入れ体制設計の妥当性

  • 将来の監査・実地検査への耐性

までを見据えた、実務レベルでの準備が求められます。

当事務所では、
「とりあえず申請する」ための支援ではなく、
制度開始後も破綻しない受入れ設計
を重視しています。

具体的には、

  • 制度の最新情報を踏まえた個別相談

  • 受入れ企業ごとの実務整理

  • 育成就労計画・社内文書の設計支援

  • 将来の特定技能1号への移行を見据えた制度設計

までを、一貫してサポートします。

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