この法改正は、日本の外国人労働者政策の大きな転換点であり、その目的や制度設計は、従来とは明確に異なっています。
本記事では、制度創設当初の背景と狙いを整理し、新制度が企業・外国人双方にどのような影響を与えるのかを解説します。
【最新版の解説はこちら】
本記事は、2024年6月時点での法改正成立直後の情報をもとに解説しています。
その後、入管庁より制度の具体的な運用方針やFAQが公表されました。
▶ 育成就労制度とは?|3分で分かる新制度の概要
(※最新の施行時期、要件、日本語能力、転籍ルール等はこちらで解説しています)
技能実習制度から育成就労制度へ
技能実習制度は、「技能の移転を通じた国際貢献」を目的として運営されてきました。
しかし実態としては、日本国内の人手不足を補う手段として利用されるケースが多く、制度目的と現実の乖離が長年指摘されてきました。
また、
-
転籍が原則不可であること
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労働環境や人権侵害に関する問題
-
外国人がキャリア形成を描きにくい構造
といった課題も顕在化し、制度の抜本的見直しが求められていました。
こうした背景を踏まえ、新たに導入されるのが育成就労制度です。
育成就労制度とは何か
育成就労制度は、外国人を「研修生」ではなく労働者として受け入れることを前提に、人手不足分野での人材育成と人材確保を目的とする制度です。
原則として3年間の就労を通じて技能と日本語能力を身につけ、その後「特定技能1号」へと移行することを制度上想定しています。
制度目的の比較
| 技能実習 | 育成就労 | |
|---|---|---|
| 制度目的 | 国際貢献 | 人材育成・人材確保 |
| 在留期間 | 最長5年 | 原則3年 → 特定技能1号へ |
| 想定人材 | 技能修得目的 | 将来の労働力 |
※特定技能2号を取得した場合、在留期間の上限はなく、事実上の長期在留も可能となります。
新制度の主なポイント
1.在留資格とキャリアパスの明確化
育成就労という新たな在留資格が設けられ、
「育成就労 → 特定技能1号 → 特定技能2号」
というキャリアの流れが制度上明確になりました。
これにより、外国人が日本で働く将来像を描きやすくなります。
2.日本語能力・技能試験の要件化
育成就労制度では、就労開始前・就労期間中に一定の日本語能力や技能試験が求められます。
特定技能1号へ移行するためには、技能試験および日本語試験への合格が必要です。
単なる労働力確保ではなく、計画的な育成が前提となる点が大きな特徴です。
3.転籍(職場変更)の可能性
技能実習制度では原則認められていなかった転籍について、
育成就労制度では、一定の条件のもとで本人意向による転籍が認められる方向で設計されています。
これは、外国人の人権保護と、より健全な労働環境の確保を意識した大きな変更点です。
4.監理支援機関への移行
従来の「監理団体」に代わり、新制度では監理支援機関が関与します。
外部監査人の設置など、監理・支援体制の厳格化が予定されており、制度運用の透明性向上が図られています。
改正法をめぐる期待と懸念
育成就労制度については、
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技能実習制度の問題点を是正する前進だと評価する声
-
転籍や監理体制が形骸化しないかを懸念する声
の双方があります。
技能実習生支援に携わるNPO関係者からは、
「制度の方向性は評価できるが、監理支援機関の実効性が問われる」
といった指摘もあります。
企業側に求められる対応
企業にとって、育成就労制度は人材確保の新たな選択肢となる一方、
-
育成計画の策定
-
日本語・技能習得への支援
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転籍を前提とした人材定着策
など、これまで以上の対応が求められます。
単に「人を受け入れる制度」ではなく、育てる制度として理解することが重要です。
さいごに
育成就労制度は、日本の人手不足対策であると同時に、外国人労働者を「共に働く人材」として位置づけ直す制度です。
今後、運用の詳細が明らかになるにつれ、企業・外国人双方にとっての実務対応がより重要になっていくでしょう。
制度を正しく理解し、早めに準備を進めることが、将来の安定した人材確保につながります。
▷参考:
NHKニュース
『「技能実習」が「育成就労」に 参院で可決 新制度のポイントは』
なお、当事務所では、外国人雇用制度に関する実務的なご相談に加え、日本語教育の知見を活かした研修・サポートも行っています。育成就労制度への対応をご検討中の企業様は、コンタクトフォームよりお問い合わせください。
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