日本語教育機関認定法FAQ|新制度の疑問点を完全解説!【全文要約掲載】

はじめに:この記事の読み方

日本語教育機関の認定制度は、留学生受け入れを考える学校や事業者にとって必須の制度です。
でも、制度の仕組みや申請方法は複雑で、文科省のFAQも膨大で読みこなすのは大変……。

そこで本記事では、文部科学省が公開しているFAQ(令和7年6月6日版)をもとに、よくある疑問をわかりやすくQ&A形式で整理しました。

この記事でわかること
・認定制度の全体像とポイント
・専修学校や大学が申請する際の流れ
・教員要件・施設要件など細かな基準
・認定後の運営や情報公開の留意点

📌 本記事は内容が多岐にわたりますので、最初から順にお読みいただいても、目次から関心のある部分だけを選んで確認していただいても構いません。

目次

1. 制度全体について

Q1-1|日本語教育機関認定法が制定された背景は?

在留外国人が増え続ける一方で、日本語教育には次の課題がありました。

  • 教育の質を保証する仕組みが不十分

  • 専門性を持つ日本語教師の数や質の確保が不十分

このため、法律により以下の新しい制度が創設されました。

  1. 日本語教育機関の認定制度
     一定の基準を満たした教育機関を「認定日本語教育機関」として位置づける。

  2. 登録日本語教員の資格制度
     認定機関で指導できる「登録日本語教員」を新たに制度化。

これにより、学習者一人ひとりの目的に合った日本語力を確実に身につけられるよう、教育の質を保証することが狙いです。

👉 詳しくは文部科学省が公開している概要資料をご参照ください:
日本語教育機関認定法の概要(文科省)

Q1-2|国が公開する「認定日本語教育機関」の情報サイトは?

法律では、省令に基づき、認定日本語教育機関の設置者や基本情報を国が公表することが定められています。

公開先は以下のポータルサイトです:
👉 日本語教育機関認定法ポータル

  • 認定された日本語教育機関の情報を多言語で公開

  • 将来的には、登録日本語教員の情報(実践研修や登録後の研修履歴を含む)についても、本人の同意を得た上で公表予定

※登録教員の情報公開の詳細は、制度の運用が確定次第、文部科学省から周知されます。

2. 認定日本語教育機関

Q2-1|認定されるとどうなりますか?

認定基準を満たした日本語教育機関は、文部科学大臣から「認定日本語教育機関」として認定されます。認定されると以下のメリットがあります。

  • 国の情報サイトで多言語公開
     → 外国人本人や企業が正確な情報を入手可能に。

  • 広告等での認定表示が可能
     → 信頼性を示すマークとして活用できる。

  • 教育水準の透明化
     → 提供される日本語教育の水準を外部から確認可能。

これにより、学習者や企業は「質が担保された日本語教育機関」を選びやすくなり、学習者の目的や状況に合った学校選択が可能になります。

Q2-2|どのような日本語教育機関が認定対象ですか?

本制度の認定対象は、教育を行う分野ごとに審査される日本語教育課程です。具体的には次の3分野に分かれます。

  1. 留学分野
     留学生を受け入れ、日本語教育を行う機関。

  2. 就労分野
     外国人労働者に対し、仕事に必要な日本語教育を行う機関。

  3. 生活分野
     地域社会で生活する外国人に対して、日本語教育を提供する機関。

つまり、「留学」「就労」「生活」のいずれか、または複数分野で教育を実施する機関が、認定の対象となります。

Q2-3|大学の別科・留学生センター・日本語教育センターも認定が必要ですか?

結論
原則として、留学生を「留学」在留資格で受け入れるためには認定が必要です。

認定が必要となるケース

  • 科目等履修生・聴講生・研究生などの 非正規生 を対象に、

  • 日本語能力試験N2相当未満の学生に対して、

  • 専ら日本語教育を行う場合。

この条件に当てはまる場合は、令和11年(2029年)3月31日までに「留学」課程の認定を受けなければ、在留資格「留学」が認められません

認定が不要なケース

以下に該当する場合は、従来どおり認定を受けなくても日本語教育を実施できます。

  • 正規課程に正規生として在籍する留学生に対して日本語教育を行う場合

  • 国費外国人留学生制度に基づく学生を対象にする場合

  • 大学間交流協定に基づき受け入れる交換留学生を対象にする場合

Q2-4|日本語等別科を新設して認定申請する場合、手続きは?

流れの概要
大学が新たに「日本語等別科」を設置し、同時に認定日本語教育機関の申請を行う場合は、次の手続きが必要です。

  1. 事前相談
     まず、高等教育局参事官(国際担当)付「留学生交流室」に相談。

  2. 学則変更の手続き
     学則変更届出を「大学設置室(高等教育局大学教育・入試課)」宛に提出。
     提出期間:設置前年度の4月1日〜12月31日

  3. 学則変更予定書の提出
     12月31日までに認定されなかった場合 → 「学則変更予定書」を提出し、認定後に改めて「学則変更届」を提出する流れに。

  4. 認定結果を踏まえた手続き
     - 4月開設予定:10月頃に認定結果を受領 → 速やかに学則変更届を提出。
     - 10月開設予定:前年度10月の申請時に「学則変更予定書」を提出 → 翌年4月頃に認定結果を受領 → 速やかに「学則変更届」を提出。

  5. 別科開設・留学生受入れ
     届出書の提出によって正式に別科が設置され、その時点で留学生受け入れが可能になります。

⚠️ 注意
「届出書」を提出しない場合は、「予定書」が自動的に取り下げ扱いとなります。

Q2-5|他の日本語教育機関と同じ名称を使っても良いですか?

結論
原則として、既存の認定日本語教育機関と紛らわしい名称は使用できません

  • 法令(施行規則第4条第2項)では、

    • 他の認定機関と混同するおそれのある名称

    • 誤解を招く表示

    • 虚偽の表示
      …を禁止しています。

そのため、新たに日本語教育機関の名称を決める際は、既設校の名称との重複や類似を避け、混乱を招かないことが求められます。

よくあるNG例

  • 「東京国際日本語学院」と「東京国際日本語スクール」
     → 呼称が似すぎて混乱を招く。

  • 「日本語アカデミー新宿校」と「新宿日本語アカデミー」
     → 名称の順序を変えただけで区別が難しい。

  • 既に有名校がある名称に「第二」「新」「本部」などをつける
     → あたかも系列校のように誤解されるおそれあり。


👉 名称決定時は、既存校一覧を確認して重複・類似を避けることが重要です。

Q2-6|認定日本語教育機関の事業を他者に引き継ぐことはできますか?

結論
原則として、事業の引き継ぎ(譲渡)は認められず、新しい設置者が改めて認定を受ける必要があります

詳細ポイント

  • 認定は「設置者」に与えられるもの(日本語教育機関認定法第2条)。

  • 親会社・子会社・関連会社など、法人格が異なれば別の設置者とみなされます。

  • 新設置者は、適格性・体制・施設設備・教育課程などを含めて再審査を受ける必要があり、省略は一切ありません。

注意点

  • 新設置者が認定を受ける前に事業譲渡した場合、その間は認定日本語教育機関とは見なされません

  • この期間中は「認定日本語教育機関」またはそれに紛らわしい名称を使うことはできません(法第4条)。

Q2-7|運営を業務委託したり、派遣教職員を採用することは可能ですか?

結論

  • 運営の業務委託は不可

  • 教員を委託契約(請負・委任)で雇うことも不可

  • 人材派遣や雇用契約は条件付きで可能

詳細ポイント

  1. 運営について
     認定日本語教育機関は、設置者が安定した経営基盤を持ち、自ら責任を持って運営することが法律上求められています。
     したがって、設置者以外に運営を委託することはできません

  2. 教員の雇用形態について
     - 教員はすべて「設置者および校長の指揮命令下」で組織的な教育活動に従事する必要があります。
     - そのため、請負契約や委任契約による教員の採用は不可です。
     - ただし、人材派遣契約やその他の雇用契約であっても、設置者・校長の管理下で教育活動に従事するなら認められる場合があります。

  3. 注意点
     最終的には、設置者の責任と判断で適否を確認する必要があります。

Q2-8|認定課程以外の日本語教育を実施しても良いですか?

結論
認定日本語教育機関は、認定課程以外の日本語教育を実施することも可能です。ただし、宣伝や表示の方法には厳しいルールがあります。

実施自体は可能

  • 認定を受けた課程以外でも、日本語教育課程を開講してよい。

  • 法令を遵守している限り、教育活動や関連事業を行うことに制限はない。

表示の注意点

  • 認定機関である旨を表示するのは可能。
     例:「〇〇日本語学院(認定日本語教育機関)」

  • ただし、認定対象外の教育課程を「認定コース」「認定日本語教育」と宣伝するのは違法
     例:趣味向けコースや短期講座を「認定課程」と誤解させる表現は不可。

一部例外(就労・生活分野)

  • 認定基準第23条に基づき、就労課程や生活課程の一部を体系的に履修させるものについては、認定課程として宣伝できる。

Q2-9|海外の外国人にオンラインで日本語教育を実施できますか?

結論

  • 就労・生活分野の課程:授業時数の 上限3/4まで オンライン授業が可能。

  • 留学分野の課程オンライン授業は認められていません

例外的に可能なケース

  • 認定対象外の教育活動として、来日前の外国人留学希望者等にオンラインで日本語を教えることは可能です。
     例:渡日前準備コース、短期の入門講座など。

Q2-10|学則における「授業料や返還ルール」はどの程度詳しく書く必要がありますか?

結論
学則には、授業料や入学料などの金額、および返還ルールを明確かつ詳細に定める必要があります

詳細に記載すべき内容

  • 授業料・入学料・その他徴収費用の金額

  • 返還ルールの条件と手続き
     - どのような場合に返還されるのか
     - 返還の金額の計算方法
     - 返還の手続きの流れ

根拠法令

  • 特定商取引に関する法律(特定継続的役務提供に該当する場合あり)

  • 消費者契約法 など、関連する消費者保護法令に基づく確認が必要。

👉 学則の本文だけでなく、別表や一覧表形式で明記すると、学生にとってわかりやすく、トラブル防止にもつながります。

Q2-11|情報公開は施行規則に書かれた項目だけでよいのですか?

結論
いいえ。施行規則第4条は「最低限公開しなければならない情報」を定めたものにすぎません。

公表が必須の情報(最低限)

  • 設置者の情報

  • 認定を受けた日本語教育課程の概要

  • 収容定員や所在地など

追加で公表できる情報(任意)

各機関の判断で、以下のような情報を追加公開することも可能です。

  • 開設年月日

  • 教員数や教員プロフィール

  • 進学実績や就職実績

  • 学生サポート体制

👉 学生や企業が学校を選ぶ際、信頼性や透明性を高めるためには積極的な情報公開が望ましいです。

Q2-12|自己点検・評価は施行規則に書かれた項目だけで十分ですか?

結論
いいえ。施行規則第7条に定められた項目は「最低限」であり、それだけで十分とはいえません。

必須の点検・評価(最低限)

  • 施行規則第7条各号に規定された事項(教育課程、施設、教職員体制など)

各機関で追加すべき点検・評価(任意だが重要)

  • 地域貢献や社会貢献の状況

  • 法令遵守の状況

  • 学生サポートの充実度

  • 情報公開や説明責任の実施状況

👉 つまり、法令に書かれた項目+機関ごとの独自評価を行うことで、質の高い自己点検・評価になります。

Q2-13|仲介業者への手数料は点検・評価の対象になりますか?

結論
はい。仲介業者(留学生募集や入学手続サポートを行う業者)に支払う手数料も、自己点検・評価の対象です。

背景

  • 施行規則第7条第8号では「財務に関すること」を評価項目としています。

  • ここには、仲介手数料などの支出の適正性も含まれます。

注意点

  • 仲介業者を活用しているのに、その手数料を点検・評価に含めない場合 → 国からの指導対象となる可能性あり

  • 特に留学生募集に関する手数料は、不透明さが問題視されやすいため、適正性の検証が不可欠です。

Q2-14|仲介手数料は「授業料の何割以下」といった基準がありますか?

結論
明確な割合や数値基準はありません。

判断の考え方

  • 授業料等の納入金額

  • 教育活動に必要な費用

  • 学校の安定的な運営体制

これらを総合的に勘案して、仲介手数料が「相当程度高額ではないか」を判断します。

背景

  • 「認定日本語教育機関の認定等に当たり確認すべき事項」では、仲介料が過大だと教育の質や運営の安定性に悪影響を及ぼすおそれがあると指摘されています。

  • そのため、一律の数値基準ではなく、個別審査で判断されます。

Q2-15|第三者評価は必ず実施しなければなりませんか?

結論
第三者評価の実施は 努力義務 であり、行わなくても法令違反にはなりません。

ポイント

  • 施行規則第8条 で「努力義務」として規定。

  • 実施しない場合でもペナルティはない。

  • ただし、客観的な評価を受けることで、教育の質改善や信頼性向上につながるため、積極的な実施が推奨されます。

Q2-16|大学で既に自己評価を行っている場合、再度点検・評価が必要ですか?

結論
はい、認定日本語教育機関としての義務は別途発生します。ただし、既存の仕組みと統合して実施することは可能です。

必須となる義務(認定法に基づくもの)

  • 情報公開(法第3条)

  • 自己点検・評価(法第8条)

  • 帳簿の備付け(法第10条)

大学・専門学校の場合

  • 学校教育法など他法令に基づいて既に実施している自己評価・情報公開が、認定法の要件を満たす内容であれば、一体的に実施してもよい

  • ただし、形式的に流用するのではなく、認定法の規定を充足しているかを確認することが必要

Q2-17|第三者評価は大学の通常評価とは別に実施する必要がありますか?

結論
第三者評価は 努力義務 であり、必ずしも大学の通常評価とは別枠で実施する必要はありません。

詳細ポイント

  • 現時点で国が特定の手法を指定する予定はなし。

  • 各機関が「相当の知見を有する第三者」と判断する者に依頼して評価を行えばよい。

  • 評価結果は公表するよう努めることが求められている。

👉 つまり、既存の大学評価に組み込むことも可能であり、別立ての制度を必ず設ける必要はありません。

Q2-18|「校長」や「学則」などの用語は必ず使わないといけませんか?

結論
必ずしも法律用語どおりの呼称を使う必要はありません。

詳細ポイント

  • 施行規則や認定基準では「校長」「生活指導担当者」「学則」などの名称が法令上規定されている。

  • ただし、実務上はこれと異なる名称・呼称を使用しても差し支えない。
     例:
     - 「校長」→「ディレクター」「統括責任者」
     - 「学則」→「規程」「ルール」

👉 重要なのは、法令上の役割を果たしていることであり、日常運営で柔軟に名称を使い分けることは認められます。

Q2-19|認定に当たっての留意点や海外機関の扱いは?

留意すべきポイント

認定日本語教育機関は、単に法律上の基準を満たすだけでなく、社会的に信頼される教育機関としての責任を果たすことが求められます。具体的には:

  • 外国人留学生の在籍管理の徹底

  • 法人ガバナンスの確保
     - 個人情報の適正な管理
     - ハラスメント防止体制の整備

  • 労働法制や関連法令の遵守

👉 認定の有無にかかわらず、広く法令順守と社会的責任を果たす姿勢が必要です。

海外機関の扱い

  • 海外に所在する日本語教育機関は認定の対象外です。

  • 認定を受けられるのは、国内に設置された教育機関のみです。

Q2-20|情報公開の「多言語対応」とはどの言語を指しますか?

結論

  • 多言語での情報公開は 努力義務 であり、実施していないからといって直ちに違反にはなりません。

  • 使用する言語の種類や数は、各機関の募集対象国や学生層に応じて設定すればよいとされています。

実務上のポイント

  • 最低限の努力義務
     → 日本語以外でも情報を出すことが望ましい。

  • 対象国に合わせた言語選択
     → 例:中国からの留学生が多ければ中国語、ベトナムから多ければベトナム語など。

  • 学校案内・募集要項など
     → 生徒募集に関する資料は、必ず受け手に情報が伝わる言語(母国語等)での対応が必要

Q2-21|認定日本語教育機関は著作権法35条の「教育機関」に含まれますか?

結論
場合によっては含まれます。営利を目的としない設置で、組織的かつ継続的に教育活動を行う認定日本語教育機関は、著作権法35条の対象となり得ます。

著作権法35条の例外措置とは?

  • 授業目的公衆送信補償金制度とも呼ばれる規定。

  • 教育機関において、授業の過程で必要な限度で公表された著作物を複製できる例外措置。

  • 本来は著作権者の許諾が必要だが、この条件を満たす場合は不要となる。

適用される条件

  • 「学校その他の教育機関」であること。

  • 営利を目的としない設置者によって運営されていること。

  • 組織的・継続的に教育活動を行っていること。

適用されないケース

  • 設置主体が営利法人である場合。

  • 設置主体が非営利でも、最終的な目的が事業体の利益に直結する場合。

実務上の注意

3. 審査に関して

Q3-1|認定申請の事前相談はいつからできますか?

結論
認定日本語教育機関の申請を行う際は、事前相談が必須であり、必要書類を揃えて計画的に準備する必要があります。

事前相談の流れ

  • 文部科学省の「日本語教育課」に事前相談を申し込む。

  • 必要書類をすべて揃え、事前相談日の14日前までに電子システムで提出することが原則。

申請スケジュール

Q3-2|申請を取り下げた場合、すぐ次の申請期間に再申請できますか?

結論
はい、可能です。ただし条件があります。

条件

  • 申請を取り下げた時期が、直後の申請回の「事前相談受付締切」前であること。

  • この場合、次の申請期間に改めて申請へ進むことができます。

Q3-3|事前相談の「設置者」とは誰を指しますか?(法人の場合)

結論

  • 法人の場合の「設置者」=法人の代表者です。

  • ただし、事前相談に限っては必ずしも代表者本人の出席は不要です。

出席ルール

  • 面接審査や実地審査では、最終責任者(法人代表者)が出席することが原則

  • 事前相談は、代表者でなくても、校長・主任教員など機関に所属する職員でも対応可能。

  • ただし、設置者または機関所属者以外は出席できません

Q3-4|認定は年に何回行われますか?

結論
認定審査は 年2回実施される予定です。

Q3-5|認定が「不可」となった場合、すぐ次の審査に申請できますか?

結論
できません。次々回以降の審査に向けて準備する必要があります。

詳細ポイント

  • 「不可」の判断が出る時点では、直後の申請期限(事前相談・申請提出)がすでに過ぎているため、直後の回には申請不可

  • 再申請は 次々回以降 から可能。

改善の必要性

  • 「不可」の理由は通知されます。

  • 改善には一定の時間を要するため、十分な検討・対応を行わなければ再度「不可」となる可能性があります。

Q3-6|「継続審査」とは?「不可」との違いは?

結論

  • 継続審査:要件を完全には満たしていないが、短期間で改善可能と判断された場合に下される判定。

  • 不可:改善に時間がかかる、または要件を満たせていないと判断された場合の判定。

継続審査の特徴

  • 申請者が希望すれば、次回の申請受付期限にかかわらず、審査を継続して受けられる。

  • 次回の審査に自動的に持ち越される形となる。

  • ただし、2回連続で「継続審査」になることはない。

不可との違い

  • 継続審査:短期間で改善すれば次の審査で認定可の可能性あり。

  • 不可:次回申請には間に合わず、次々回以降に再申請する必要がある。

Q3-7|審査途中で申請を取り下げられますか?その場合「不可」として公表されますか?

結論

  • 申請途中での取り下げは可能です。

  • 取り下げた場合、その時点で審査は中止され、「不可」などの判定はされません

  • よって、結果としての公表対象にもなりません。

実務上のポイント

  • 審査の進行中に状況が変わった場合(例:教員確保が間に合わない、施設基準を満たせないなど)、取り下げる判断も可能。

  • 「不可」とは扱われないため、評判への影響を避けたい場合にも有効な選択肢

Q3-8|面接審査・実地審査で代表者が出席できない場合、代わりは認められますか?

結論
原則として法人の代表者が出席する必要があります。ただし、正当な理由があり、責任体制が明確であれば、経営担当役員が代わることも可能です。

認められる条件(例外)

  • 代表者が不在でも、最終責任を取れる体制が確立していること

  • 代表者が出席できないことに、正当な理由があること。

  • 出席者が、機関の運営に責任を持って説明・対応できる人物であること。

注意点

  • 外部関係者や機関に所属しない者は出席不可

  • 出席者には、審査の場で「責任をもって対応できるか」を確認される場合がある。

  • なお、事前相談に限っては代表者の出席は不要

Q3-9|「その他直接日本語教育の用に供する土地・建物」とは?

結論
施行規則第1条第1項第7号における「その他直接日本語教育の用に供する土地・建物」には、日本語教育機関の運営に必要な施設が含まれます。

具体例

  • **寄宿舎(学生寮)**の土地や建物

  • 留学生の生活支援に直結する付属施設

  • 教育活動を円滑に行うために必要とされる建物

👉 ポイントは、**単なる不動産ではなく「教育活動・学生生活に直結する施設」**が対象となる点です。

Q3-10|専修学校は日本語学科を開設してから申請?それとも並行可能?

結論
専修学校の場合、日本語学科の新設認可手続きと、認定日本語教育機関の申請を同時並行で進めることが可能です。

実務上の流れ

  1. 都道府県への学科新設認可申請を行う。

  2. 同時に、文科省への認定申請を作成・提出できる。

  3. 事前相談時に、都道府県での手続きと並行して進めること、そのスケジュールを伝える必要がある。

Q3-11|専修学校・各種学校の学則変更は認定の前?後?

結論

  • 認定申請は、学則や寄附行為を変更する前に「変更案」を提出して行うことが可能です。

  • 認定を受けた後、要件に適合するように正式に学則変更・寄附行為の変更を行う必要があります。

実務上の流れ

  1. 認定申請時:学則変更の「案」を添付して申請。

  2. 審査過程:必要に応じて修正指示が入る可能性あり。

  3. 認定後:所轄都道府県に正式に手続きを行い、学則や寄附行為を変更。

Q3-12|自治体が設置者の場合、提出資料はどう変わりますか?

結論
地方公共団体が設置者となる場合、一部の提出資料が不要となり、施設要件にも例外が認められます。

主な違い

  • 提出資料

    • 設置者の要件に関する一部書類は提出不要。

  • 校地・校舎の要件

    • 自己所有の原則に対して、地方公共団体の場合は例外規定が設けられている。

注意点

  • 自治体設置の場合でも、審査過程で学則等の修正を求められる可能性あり

Q3-13|「完成年度」とは?2年課程の新設校の場合

結論
「完成年度」とは、定められた収容定員がすべて充足される年度を指します。

具体例(2年課程のみ設置の場合)

  • 1年次:定員の半数を入学させる。

  • 2年次:さらに残り半数を入学させる。

  • 👉 この場合、2年目が「完成年度」となる。

ポイント

  • 完成年度は 各機関の学生受入計画に依存する。

  • 課程の修業年限や募集計画によって変動するため、一律の定義ではなく個別判断が必要。

Q3-14|様式1-1の「設置者名」欄、法人の場合は法人名だけでよい?

結論
法人が設置者の場合は、法人名だけでなく代表者名も併記する必要があります。

記載例

  • (例)「学校法人〇〇学園 理事長 〇〇〇〇」

  • (例)「株式会社〇〇 代表取締役 〇〇〇〇」

Q3-15|「開設日」はどの日を記載すればいい?

結論
「開設日」とは、実際に教育活動を開始する日を指します。

新設の場合

  • 認定は10~11月に行われる予定が多い。

  • 翌年度の 4月1日の課程始期に合わせて「開設日」とするケースが一般的。

既設の場合

  • 例えば 1月入学課程を持つ場合、その課程が始まる日を「開設日」と記載。

  • 認定から開設までのスケジュールがタイトになる点に注意。

Q3-16|法人設置の場合、住民票の写しは必要?

結論
設置者が法人の場合、住民票の写しに代わる書類の提出は不要です。

Q3-17|開設予定より早く認定申請することは可能?

結論
法令上、文科省が案内している「開設の1年前に申請」というスケジュールより前倒しで申請することは可能です。

注意点

  • 認定審査は、完成年度における教育機関の体制を前提に行われます。

  • したがって、申請後に完成年度までの間で内容変更が生じることは基本的に想定されていません。

  • 実際に前倒し申請する場合は、その点を理解して計画する必要があります。

告示校から移行する場合の留意点

  • 法務省告示機関が認定を受けると、入管庁の手続完了後に告示から抹消されます。

  • そのため、告示機関としての留学生受入は不可能に

  • 留学生を途切れずに受け入れるには、文科省が示すスケジュールに従うことが望ましい

Q3-18|完成年度前でも別分野の課程を新設できる?

結論
可能です。

  • 認定は機関単位で行われますが、審査は課程分野ごとに実施されます。

  • そのため、認定済みの課程(例:留学課程)の体制に変更がなければ、別分野(例:就労課程)の新設は完成年度を待たずに申請可能です。

実務ポイント

  • ただし、認定審査は 完成年度時点の体制を前提に行うため、認定済み課程に影響を与えないことが前提条件。

  • 新設申請を行う場合は、認定審査スケジュールに合わせて変更届を提出する必要があります。

4. 設置者の要件に関して

Q4-1|株式会社が設置者となる際の経営担当役員について、外部委託会社の役職員でも良いですか?

結論
いいえ。法律上の「役員」は、必ず設置者(株式会社)そのものの役員でなければなりません。

注意点

外部委託会社の役職員やコンサルタントなど、設置者に属さない人物を経営担当役員とすることは認められません。

Q4-2|法人設置のスケジュール上、認可申請時に納税証明書を提出できない場合、代わりの書類は必要?

結論
原則として、納税証明書は申請時に提出が必要ですが、設立後間もない法人で発行ができない場合は、事情を付して「提出しない」扱いとすることが可能です。

注意点

  • 可能な場合は 申請期間中に納税証明書を発行し、別途提出 してください。

  • どうしても発行できない場合、経済的基盤を示す他の書類(例:資本金払込証明、銀行残高証明など)の提出を求められることがあります。

  • 要求される代替書類はケースごとに異なるため、事前相談で確認することが重要です。

Q4-3|添付書類として提出する理事会等の決議録は、どんな内容を審議したものが必要?

結論
「認定日本語教育機関の認定を受けること」について審議した決議録を提出する必要があります。

注意点

  • 決議録には、認定申請を行うことを正式に承認した経緯 が明確に記載されている必要があります。

  • 設置者が法人の場合は、理事会や取締役会など、法人の意思決定機関での議事録を提出してください。

Q4-4|設置者要件にある「運用資金」は、法人全体の資金を指すの?

結論
「運用資金」とは、日本語教育機関を運営するための資金を指します。

注意点

  • 判断にあたっては、提出された財務書類から 法人全体の収支や財務状況も総合的に勘案 されます。

  • したがって、日本語教育機関専用の資金が確保されていることに加え、法人全体としての経営基盤も健全である必要があります。

5. 認定基準に関して

Q5-1|「教育上必要な教員組織その他」とは何を指す?

結論
日本語教育機関としての 教員組織に加え、事務職員の体制や組織運営のルール整備 を指します。

注意点

  • 専修学校や大学別科など、日本語教育以外の課程も設置している教育機関では、特に日本語教育課程の組織を明確化する必要があります。

  • 単に教員の配置だけでなく、事務局体制や規律ルール も含めた「教育機関としての組織的な枠組み」が求められます。

Q5-2|現職の日本語教員は、新制度で何が変わる?

結論
認定日本語教育機関で認定対象の課程を担当する教員は、登録日本語教員である必要があります。

注意点

  • 登録日本語教員になる条件

    • 日本語教員試験の合格

    • 実践研修の修了

  • 経過措置(施行後5年間)

    • 現職教員で、一定の基準を満たす場合には、試験や研修が免除されます。

  • 対象外のケース

    • 認定を受けない教育機関で勤務する教員

    • 個人で日本語教育に従事する者
      → 登録日本語教員の資格は必須ではありません。

Q5-3|学校の支援員や地域の日本語教室の教師・支援者も、登録日本語教員になる必要がある?

結論
いいえ。認定を受けない日本語教育機関で活動する場合は、登録日本語教員の資格は不要です。

注意点

  • 地域の日本語教室や学校での支援員など、認定日本語教育機関の外で活動する場合は、登録を受ける義務はありません。

  • ただし、認定日本語教育機関で 認定課程を担当する場合のみ必須 となります。

Q5-4|認定日本語教育機関の教員は全員、登録日本語教員でなければならない?

結論
はい。法第7条に基づき、認定課程を担当するすべての教員は登録日本語教員である必要があります。

注意点

  • 経過措置(2024年4月1日~2029年3月31日

    • この5年間は、法務省告示校制度の教員要件を満たす現職教員などが、登録を受けずに勤務可能です。

  • 認定外の教育

    • 認定対象外の日本語教育を行う場合には、その教員は登録日本語教員である必要はありません。

Q5-5|登録日本語教員の資格は、認定申請時に取得していなければならない?

結論
原則として、申請時点で登録日本語教員(または経過措置対象の教員要件を満たす者)である必要があります。

注意点

  • 養成課程を修了見込みで、その年の日本語教員試験を受験予定の者も申請書類に含めることは可能です。

  • ただし、基準上必要な教員数にカウントはできません
    → その人物を除いても基準人数を満たす必要があります。

  • 書類提出は他の教員と同様に必要です。

Q5-6|現職の日本語教員をそのまま継続して雇用できる?

結論
経過措置期間(2024年4月1日~2029年3月31日)までは、一定条件を満たす現職教員をそのまま雇用することが可能です。

注意点

  • 経過措置期間中に雇用できるのは以下の教員:

    • 法務省告示校制度の告示基準に適合する教員

    • 法務省告示機関(告示対象課程)、大学、または文科大臣が指定する日本語教育機関において、2019年4月1日以降に1年以上日本語教育課程を担当した経験を持つ者

  • 経過措置終了後(2029年4月1日以降)

    • 継続して勤務するためには、登録日本語教員資格を取得することが必須。

Q5-7|「校長としてふさわしい社会的信望」とは?

結論
明確な数値基準はなく、**「認定日本語教育機関の認定等に当たり確認すべき事項」**に基づき総合的に判断されます。

留意点

  • 「社会的信望」とは、教育機関の代表としてふさわしい人物かどうかを示すもの。

  • 具体的には以下の点が考慮されます:

    • 法令遵守の姿勢(違法行為・不祥事がない)

    • 教育分野での実績や経験

    • 学習者や地域社会からの信頼性

  • 参考文書:「認定日本語教育機関の認定等に当たり確認すべき事項」2(1)④、3(1)④

Q5-8|副校長はどのような役割を担えばよい?

結論
副校長については、**「校長の命を受けて業務を行う」**ことが求められています。具体的に職務分掌が明確に定められていれば問題ありません。

実務ポイント

  • 職務分掌の例:

    • 校長不在時の代行権限

    • 教務・学生指導・事務統括など、分担領域を明文化

  • 曖昧な表現ではなく、文書(学則や内規等)で明確に規定しておくことが望ましい

Q5-9|「隣地」とはどこを指す?

結論
「隣地」とは、校地が直接隣接している土地を指します。距離が離れている場合は、近接していても「隣地」とは認められません。

注意点

  • 「徒歩数分だから」「道路を挟んで隣だから」といったケースも、隣接扱いにはなりません。

  • 隣接しているかどうかが、施設要件の適合判断に直結します。

  • 校地や校舎の配置は、認定申請前に十分に確認しておく必要があります。

Q5-10|主任教員は分野ごとに置く必要がある?

結論
最低基準としては、主任教員は機関に1人いれば足ります。

注意点

  • 留学・就労・生活の各分野で求められる専門性は異なるため、1人の主任教員がすべての分野を兼任する場合は、その妥当性や適切性が審査で厳しくチェックされます。

  • 実務的には、分野ごとに主任教員を置くことで、審査上も教育上も安心です。

  • 特に「留学課程」では法務省との連携や在留資格の関係があるため、主任教員の責任範囲が明確であることが重視されます。

Q5-11|主任教員に必要な「知識・技能」とは?

結論
主任教員には、日本語教育課程の編成・実施を統括できる知識と技能が求められます。

注意点

  • 具体的には、「認定日本語教育機関の認定等に当たり確認すべき事項」2(1)⑤および3(1)⑤に基づき判断されます。

  • 日本語教育の理論的知識に加え、カリキュラム設計、教育実践のマネジメント、学習者のニーズ把握・評価など総合的なスキルが必要です。

  • 単に授業ができるだけでは不十分で、教育機関全体の質保証に責任を持つ立場であることが前提です。

Q5-12|本務等教員とは?

結論
本務等教員とは、認定日本語教育機関において専ら(または本務として)教育に従事し、日本語教育課程に直接的かつ実質的に関与する教員を指します。

注意点

  • 専任・本務性
    雇用形態はフルタイムや正社員に限られず、勤務実態に基づいて「専ら」または「本務」と認められることが必要です。

  • 責任の範囲
    教育課程の責任者でなくてもよいが、教育課程の編成会議などに参画し、実質的に課程運営に関わっていることが求められます。

  • 要件を満たさない例
    授業を担当していても、単に指示通り授業を行うだけで教育課程の企画・運営に関与しない場合は、本務等教員とは認められません。

Q5-13|全員を非常勤(フルタイム以外)の教員で本務等教員にできる?

結論
すべての本務等教員を非常勤などのフルタイムでない形態にすることは、原則として不適切と判断される可能性があります

注意点

  • 本務等教員は「勤務実態」で判断されるため、フルタイムでなくても認められることはあります。

  • しかし、機関全体としてフルタイムや正社員の教員がほとんどいない場合、教育課程や組織運営の責任を適切に担えないと見なされるリスクがあります。

  • よって、機関全体の体制を踏まえたバランスのある教員配置が求められます。

Q5-14|主任教員の「3年以上の経験」はどの教育機関での経験が認められる?(経過措置期間)

結論
経過措置期間中(2024年4月1日~2029年3月31日)は、以下の教育機関での経験が主任教員の要件として認められます。

認められる経験先

  • 法務省告示機関(告示対象の日本語教育課程)

  • 大学

  • 文部科学大臣が指定する日本語教育機関
     ※認定前に実施していた日本語教育課程も含む

留意点

  • 認定法附則第2条に基づく特例です。

  • 2029年4月以降は経過措置が終了するため、原則どおり「認定日本語教育機関での3年以上の経験」が必要になります。

Q5-15|主任教員の「3年以上の勤務経験」は一つの機関である必要がある?産休・育休は算入できる?

結論

  • 勤務経験は「一つの機関」である必要はなく、複数機関での経験を合算できます。

  • 産前・産後休暇は経験年数に含めることができます。

  • ただし、育児休業の期間は算入できません。

留意点

  • 「3年以上の勤務経験」はあくまで本務等教員としての勤務が対象です。

  • 新設機関で主任教員に就任予定の場合でも、過去の複数機関での勤務経験を合計して基準を満たせば要件クリアとなります。

Q5-16|主任教員に求められる「外国人を雇用する事業主」「地方公共団体」とは例示?

結論
そのとおりです。条文に挙げられた「外国人を雇用する事業主」や「地方公共団体」はあくまで例示であり、各日本語教育課程の内容に応じて必要な関係者との連携体制を整備することが求められます。

実務ポイント

  • 就労課程や生活課程を担当する主任教員には、企業や自治体などのニーズを踏まえた教育課程編成を行う能力が必要。

  • 単なる教員としての専門性だけでなく、コーディネーターとして外部関係者と連携する経験や知識が重視されます。

Q5-17|教員は国内在住者に限られる?海外在住教員の配置は可能?

結論

  • 留学課程では、海外在住の教員を配置することは認められません。

  • 就労課程・生活課程では、一部オンライン授業が認められているため、海外在住教員を配置し、海外から授業を行うことが可能です。

注意点

  • 留学課程は「来日して学ぶ」という趣旨に基づくため、教育の一部を海外から提供することは制度上できません。

  • 就労課程や生活課程で海外から授業を行う場合も、授業の質や出席管理を含む運営体制の適正性を確保することが必要です。

Q5-18|複数の機関で本務等教員になることは可能?

結論

  • 留学課程の本務等教員は、複数の機関で兼務することはできません。

  • 就労課程・生活課程の本務等教員も原則として兼務は不可です。

  • ただし、各課程の実施日数が週1日程度と少なく、両機関での勤務に支障がないと認められる場合には、例外的に兼務が認められることがあります。

注意点

  • 本務等教員は、課程運営に責任を持つ立場であるため、原則は一機関専属です。

  • 例外を認めるかどうかは、勤務実態や課程実施状況を踏まえた個別判断となります。

Q5-19|異なる分野の課程で本務等教員を兼務できる?

結論
できません。
本務等教員は分野別(留学・就労・生活)の課程ごとに必要数を配置しなければならず、同一教員を複数分野で「二重カウント」することは認められません

注意点

  • 教員数の計算は、分野ごとの収容定員を合計し、その合計に対して必要数を配置する仕組みです。

  • そのため、1人の教員を「留学課程」と「就労課程」の両方で本務等教員としてカウントすることはできません。

  • 分野ごとに専門性が異なるため、兼務は制度上も想定されていません。

Q5-20|大学や専門学校では本務等教員が最低1人で良いのはなぜ?

結論
大学や専門学校が認定を受ける場合、他学科の教員が日本語教育課程に責任を担える体制が整っているため、本務等教員の最低数は1人で足ります。

留意点

  • 大学や専門学校には、既に設置基準に基づく教育体制が整備されており、その仕組みを基盤に日本語教育課程を運営できると考えられています。

  • 例えば、別科での日本語教育課程に、他学科の教授や准教授などが編成会議の構成員として参加することも可能。

  • このように教育に支障がない体制が確保できるため、最低1人の配置で認められています。

Q5-21|就労・生活課程の授業時数は「単位時間」に換算する必要がある?

結論
就労課程や生活課程では、留学課程のように「1単位=45分」と読み替える必要はありません。ただし、担当授業は1人あたり週25コマ以内に収める必要があります。

注意点

  • 「単位時間」とはコマ数のことを指します。

  • 留学課程の場合:1単位時間=45分以上と定義。

  • 就労・生活課程の場合:この45分基準を当てはめなくてもOK。

  • それでも、1教員あたりの担当授業数は25コマ以内が上限。

  • さらに「認定日本語教育機関の認定等に当たり確認すべき事項」3(1)⑨に定められた、職務内容に応じた上限規定にも注意が必要です。

Q5-22|「事務を統括する」とはどんな業務?

結論
「事務を統括する」とは、日本語教育機関における事務全般の責任者を指します。

実務ポイント

  • 機関内の事務業務の進め方を設計する。

  • 事務処理の進捗を管理する。

  • 事務局スタッフの役割分担や調整を行う。

  • 機関運営の中で、責任の所在を明確にする役割。

つまり、いわゆる「事務局長」や「事務責任者」としての機能を果たすポジションです。

Q5-23|事務統括職員は校長や主任教員と兼務できる?

結論
兼務は可能性として否定されていませんが、原則は推奨されません。役割が異なるため、兼務によって責務が十分に果たされないおそれがあります。

注意点

  • 事務統括職員、校長、主任教員はそれぞれ異なる責任を担う。

  • 兼務すると、いずれかの職務が不十分になるリスクが高い。

実務ポイント

  • 兼務を申請する場合は、個別審査で本当に必要な体制が確保されているか確認される。

  • 結果として「体制不十分」と判断される可能性があるため、基本的には専任配置が望ましい

Q5-24|事務統括職員を複数名配置できる?

結論
できません。事務統括職員は 必ず1名 とし、責任の所在を明確にする必要があります。

注意点

  • 複数名にすると責任の所在が曖昧になり、体制不備と判断される可能性がある。

  • 補佐的な職員を置くことは可能ですが、正式な「事務統括職員」は1名限定

Q5-25|事務統括職員や生活指導担当者の雇用形態は?

結論
雇用形態に特段の定めはありません。

注意点

  • 実務に支障のない体制であることが前提。

  • 例えば、事務統括職員が非常勤で頻繁に不在となる場合は、統括機能を果たせないと判断される可能性があります。

  • 生活指導担当者についても、学生対応や緊急時の支援に支障が出ないような雇用形態であることが求められます。

Q5-26|申請時点で全教職員の雇用契約が必要?

結論
全員の契約は不要ですが、中核人員は申請時点で雇用している必要があります。

実務ポイント

  • 申請時点で必ず雇用済みであるべき人員

    • 校長(および副校長)

    • 主任教員

    • 事務統括者

  • 申請時点では必須でない人員

    • 本務等教員

    • その他の教員

    • 生活指導担当者(責任者含む)

これらは、課程の開始日までに雇用予定であることを示す書類(雇用予定証明等)の提出が必要です。

Q5-27|既存校の就任承諾書、就任日はいつにする?

結論
既存校であっても「認定日本語教育機関」として新たに就任する扱いとなります。

実務ポイント

  • 就任日は「認定日本語教育機関」として開設される日付を記載する。

  • 既存の学校で勤務している場合でも、そのまま引き継ぐのではなく、認定後に新たに就任するものとして取り扱う点に注意が必要です。

Q5-28|既存の告示校役員の就任承諾書、日付はどう書く?

結論
就任日は、認定日本語教育機関の設置者としての法人の役員に就任する日となります。

実務ポイント

  • 告示校として既に役員に就任している場合でも、**日付は「認定日本語教育機関として開設する日」**を記載する。

  • 既存の就任日ではなく、認定開始日に合わせる必要があるので注意。

Q5-29|海外での教育経験も在職証明書が必要?

結論
必要です。認定基準を満たすために海外での教育経験を含める場合は、在職証明書を提出しなければなりません。

実務ポイント

  • 技能実習生送り出し機関など、海外での日本語教育経験も対象。

  • 提出は認定基準を満たす範囲で十分。不要なものまで揃える必要はありません。

Q5-30|在職証明書の入手が困難な場合の対応は?

結論
在職証明書は、各認定基準を満たす範囲で提出すれば足ります。必ずしもすべての経歴について提出が必要なわけではありません。

実務ポイント

  • 他の要件を満たせば、在職証明書の提出を要しないケースもある。

  • 入手が困難な場合は、事前相談で個別に対応可能か確認すること。

  • 曖昧なままにせず、早めに相談して証明方法を検討するのが望ましい。

Q5-31|主任教員等の学歴証明は写しでOK?発行日には期限がある?

結論
主任教員等の学歴証明は、写しでも提出可能です。発行日についても、特段の期限(例:何年以内など)は設けられていません。

実務ポイント

  • 卒業証書:写しを提出可。

  • 卒業証明書:原本からPDF作成、または写しからPDF作成でも可。

  • 発行日:古い証明書でも原則有効。ただし虚偽や内容不明確な場合は、教員本人だけでなく機関全体の認定取消しにつながるリスクあり。

  • 申請者側で、提出書類が確認可能な状態かどうかを慎重に判断する必要あり。

Q5-32|外国語の卒業証明書は申請で使える?

結論
外国語で記載された卒業証明書でも申請可能です。

注意点

  • 翻訳文の添付が必須:卒業証明書や協定書など外国語の書類には、必ず日本語訳を添付してください。

  • 翻訳の正確性は申請者の責任:誤訳や不十分な訳文は申請不備の原因になります。

  • 協定書など現地機関との契約書も同様に訳文を添付する必要があります。

 

 

 

📌 本記事は令和7年6月6日公開の文部科学省FAQに基づき作成しています。現在も作業を進めており、今後も順次内容を追加・更新してまいります

 

 

 


注意(安全のために)

この記事は 2025年6月時点の情報を正確に引用しています。
制度は随時変更される可能性があるため、必ず文部科学省公式サイトの最新情報をご確認ください。


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