ビザとは何か? |「査証」と「在留資格」の違いを正しく理解する

外国人が日本に滞在することを考える際、
「ビザが必要ですか?」
という言葉をよく耳にします。

しかし、日本の制度において使われる「ビザ」という言葉は、
実は2つの異なる意味で使われていることをご存じでしょうか。

うつのみや
この記事は、こんな方におすすめ!
・在留資格について知りたい方
・査証について知りたい方
・外国人雇用について知りたい方

「ビザ」という言葉が指す2つの意味

一般的に「ビザ」と呼ばれているものには、次の2つがあります。

  • 査証(Visa)

  • 在留資格(Status of Residence)

この2つは、日本への入国・滞在においてまったく異なる役割を持っています。
混同したまま手続きを進めると、申請ミスや不許可の原因にもなります。

この記事では、「査証」と「在留資格」の違いを、日本の制度に即してわかりやすく解説します。

結論から言うと:入国前か、入国後か

まずは、最も重要なポイントをシンプルに整理します。

  • 査証(ビザ)
    ▶ 日本に入国する「」に必要なもの

  • 在留資格
    ▶ 日本に入国した「」に与えられる、日本国内での法的地位

この違いを押さえるだけで、日本の入管制度はぐっと理解しやすくなります。

査証(ビザ)とは何か?

外国人が日本に入国する際には、「上陸手続(入国審査)」を受ける必要があります。

この上陸手続で必要となるのが、次の2つです。

  • パスポート(旅券)

  • 査証(ビザ)
    ※査証免除国の場合を除く

パスポート(旅券)とは

パスポートは、外国人の国籍や身分を証明する公的書類であり、その人の母国政府が発行するものです。

査証(ビザ)とは

査証とは、外国人が日本に入国することについて、日本政府が事前に確認・推薦したことを示す文書です。

  • 日本国外にある日本大使館・領事館(外務省所管)で発行されます

  • 申請内容をもとに、「この外国人は、日本に入国しても差し支えない」と判断されたことを示します

実務的なイメージとしては、「入国前の推薦状」と考えると分かりやすいでしょう。

査証があれば必ず入国できる?

いいえ、必ず入国できるわけではありません。

査証を持っていても、最終的に入国を許可するかどうかは、空港等での入国審査官の判断になります。

在留資格とは何か?

無事に入国審査を通過すると、次に問題となるのが日本で「どのような活動をして滞在できるのか」です。
その活動内容を法的に定めるのが、在留資格です。

在留資格の役割

在留資格は、外国人に対して次の点を定めます。

  • 日本で行うことができる活動内容

  • 在留できる期間

  • 就労の可否や制限

たとえば:

  • 留学生 → 「留学」

  • 会社員 → 「技術・人文知識・国際業務」

  • 経営者 → 「経営・管理」

といったように、滞在目的ごとに在留資格が細かく分かれています。

在留資格を所管するのはどこ?

  • 査証:外務省(日本大使館・領事館)

  • 在留資格:法務省(出入国在留管理庁)

この点も、実務上非常に重要な違いです。

「査証」と「在留資格」の違い(まとめ)

項目 査証(ビザ) 在留資格
必要なタイミング 入国前 入国後
発行場所 日本国外(大使館・領事館) 日本国内(入管)
法的役割 入国の可否 日本での活動内容
有効性 入国時まで 在留期間中

専門家に相談するという選択

在留資格や査証に関する手続きは、法律・政省令・運用通知を前提として判断されるため、非常に複雑です。
目的や状況に合わない申請を行ってしまうと、不許可や将来の在留資格の更新・変更に影響することもあります。
手続きについて専門家への相談を検討する場合は、当事務所の相談案内ページをご確認ください。


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