はじめに:専門学校に「日本語学科」を設置する背景
外国人留学生の増加や人材不足を背景に、専門学校に日本語学科を設置する動きが広がっています。
従来は「日本語学校 → 専門学校」という進学ルートが一般的でしたが、今後は 一つの専門学校内で日本語学習から専門課程まで一貫提供するモデルが注目されています。
本記事では、最新制度に基づいて「専門学校に日本語学科を作る方法」をわかりやすく解説します。

この記事は、こんな方におすすめ!
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専門学校の経営者・学校法人の方
新たに日本語学科を設け、留学生を受け入れたいと考えている方。 -
教育ビジネスを検討している事業者・投資家の方
今後の需要増加を見込み、日本語教育分野への参入を検討している方。 -
既存の日本語学校や語学教育関係者の方
専門学校との連携や、内部進学モデルに関心を持っている方。
日本語教育機関認定法FAQ|新制度の疑問点を完全解説!
本記事では専門学校に日本語学科を設置する流れを解説していますが、実際には制度の背景や細かな要件を正しく理解することが欠かせません。
文部科学省が公開している最新のFAQをもとに、「日本語教育機関認定法」全般に関する疑問点を整理した記事もあわせてご覧ください。
専門学校に日本語学科を設置するための手続き
二本立ての申請が必要
日本語学科を設けるには、以下の二つの申請を同時並行で進める必要があります。
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専修学校の学科新設(設置認可/学則変更)
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所轄:都道府県知事
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根拠:学校教育法、専修学校設置基準
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日本語教育機関の認定(認定日本語教育機関制度)
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所轄:文部科学省(文化庁移管予定)
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根拠:日本語教育機関の認定等に関する法律(2024年施行)
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認定日本語教育機関の要件(最新制度)
授業時数とカリキュラム
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年間760単位時間以上
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週20単位時間以上
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「読む・書く・聞く・話す」をバランスよく配置
教員要件
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原則:登録日本語教員
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経過措置:現職教員は5年間(2029年度まで)特例あり
修業期間と学習目標
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原則:1年以上
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CEFR B2以上を目標とする課程を最低1つ設置
施設要件
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校地・校舎は教育上・衛生上適切
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自己所有が原則(例外的に長期賃借を認める場合あり)
専修学校の「学科新設」認可に必要な条件
都道府県知事の認可
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設置基準に基づき、学則・教員組織・設備・財務基盤が適合していること
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1授業科目の同時授業は40人以下
内部進学による一貫教育
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日本語学科から福祉・IT・観光などの専門学科に内部進学可能
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日本語学習から専門教育・就職まで一体化した教育を提供できる
日本語学科設立の実務フロー
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事前相談
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都道府県(学科新設)、文部科学省(認定)、入管庁(留学生受入れ)の3者に同時相談
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教員・カリキュラム整備
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登録日本語教員を確保
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年間760時間以上、CEFR準拠のカリキュラムを設計
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施設・定員設計
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教室面積、定員、教員数(20人に1人以上)を基準に適合
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申請・審査
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都道府県:設置認可/学則変更申請
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文部科学省:認定申請
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認定後の運営
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学則公開、出席管理、生活支援、自己点検・評価の定期実施
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専門学校に日本語学科を設置するメリット
① 学生募集と囲い込み効果
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日本語学科から専門課程への内部進学により、進学率が高まる
② 専門教育に直結した日本語指導
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介護・看護などの分野では、日本語段階から専門語彙を取り入れる教育が可能
③ 地域貢献と外国人材定着
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自治体の支援策と連動しやすく、外国人材の定住・就職促進につながる
まとめ
専門学校に日本語学科を新設するには、
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都道府県の設置認可
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文部科学省の認定
という二重の手続きをクリアする必要があります。
制度は新しく、準備には時間と専門性が求められますが、日本語学習+専門課程+地域就職という一体型モデルは、今後ますます需要が高まるでしょう。
📌 補足:留学生の在留資格手続きについて
日本語学科や専門課程で留学生を受け入れる場合、「留学」の在留資格申請は必須です。
当事務所では、COE交付申請や更新申請を代行し、学校事務ご担当者の大きな負担を軽減します。
在留資格関連の煩雑な事務作業は専門家に任せていただき、教育や学生サポートに専念してください。
⚠️ 注意事項
本記事は執筆時点の法令・制度に基づき一般的な情報をまとめたものです。
実際に専門学校の設立や日本語学科の新設を検討される場合は、必ず最新の情報を関係省庁(文部科学省、都道府県、出入国在留管理庁など)の公式サイトでご確認ください。
また、具体的な申請や運用にあたっては、専門家にご相談されることをおすすめします。