日本人の配偶者として日本に暮らしている外国人の方にとって「永住許可」は大きなステップです。私自身、これまでに日本人配偶者等の永住申請をサポートしてきましたが、実際の現場では細かな注意点が多く存在します。今回は、これまでの経験の中からよくある申請事例を参考に、申請条件や注意点、スムーズに進めるコツを行政書士がわかりやすく解説します。
はじめに
外国人が日本で安定して長期的に生活するためには、「永住者」の在留資格を取得することが一つの目標になります。特に日本人の配偶者等の在留資格を持つ方には、比較的早い段階で永住許可のチャンスがあります。
私がこれまでサポートしてきたケースでも、日本人の配偶者ビザから永住申請を検討される方は多くいらっしゃいました。ここでは、実務でよく出てくる具体的なポイントをもとに、申請の流れや注意点を解説します。
日本人配偶者からの永住申請の条件とは?
✅ 日本人の配偶者等の場合の基本条件
条件項目 | 内容 |
---|---|
結婚期間 | 日本人と結婚して3年以上継続していること |
在留期間 | 日本に引き続き1年以上在留していること |
公的義務 | 税金・年金・健康保険の納付義務をきちんと果たしていること |
生活基盤 | 安定した収入・貯蓄があること |
素行善良性 | 過去に犯罪歴・違反歴がないこと |
👉「安定した日本での生活実績」が重視されます。
永住許可申請の前に|入管の「セルフチェックシート」で自己診断
永住許可申請は提出書類が多く、条件も複雑なため「自分が申請できるのか分からない」という方も多いです。
入管(出入国在留管理庁)では、事前に自分が永住申請の条件を満たしているかを確認できる永住許可申請セルフチェックシートを公開しています。
このチェックシートは、日本人の配偶者等・永住者の配偶者等の方用にも用意されています。内容は主に以下のようなポイントです。
チェック項目例 | 内容 |
---|---|
結婚・在留期間 | 結婚生活3年以上・日本で1年以上の在留 |
住民税の納税 | 直近3年間、納税を適正に行っている |
国税の未納 | 国税(所得税・消費税など)の未納がない |
年金保険料 | 直近2年間、年金を期限内に納付している |
健康保険料 | 直近2年間、健康保険料を期限内に納付している |
在留資格の期間 | 現在の在留期間が「3年」または「5年」である |
犯罪歴 | 罰金・懲役・禁固歴がない |
☑ 重要ポイント
このチェックシートは、一つでも「いいえ(No)」があると「不許可」となる可能性が高いとされています。ただし、全て「はい(Yes)」であっても必ず許可されるわけではなく、あくまで目安とされています。
もしセルフチェックで不安が出てきた方は、申請前にぜひ行政書士などの専門家へご相談されることをおすすめします。
実務経験でよくある申請の注意ポイント
これまでに複数の日本人配偶者等の永住申請をサポートしてきましたが、実際の審査では細かい確認事項が多く、慎重な対応が必要となります。たとえば以下のような場面がありました。
① 年金・健康保険の加入状況
ある申請では、勤務先会社の社会保険料の支払いに遅れが発生していた事例がありました。本人に責任はなくても、入管は支払い履歴を厳密に確認するため、会社側の遅延理由を説明する書類を提出しました。
② 配偶者(日本人側)の義務履行状況も審査対象
永住申請は、申請者本人だけでなく、日本人配偶者の税金や年金の納付状況も審査対象になります。世帯全体で義務をきちんと履行していることが重要です。
③ 申請理由書の作成の重要性
書類だけでなく、現在の生活状況や将来の日本での生活設計についても「申請理由書」で具体的に説明する必要があります。理由書の完成度が審査官の印象を大きく左右します。
申請から許可までのスケジュール
ステップ | 期間目安 |
---|---|
申請準備期間 | 約1〜2ヶ月(資料収集・理由書作成) |
入管審査期間 | 約4~6ヶ月 |
許可通知 | 申請から約6ヶ月後 |
※審査期間は個人の状況によって前後します。
【Q&Aコーナー】よくあるご質問
Q1. 日本語能力は必要ですか?
日本人配偶者等の永住申請では、日本語能力は明確な要件には含まれていません。ただし、今後の生活を考えれば、日本語能力は審査官にも良い印象を与えます。
Q2. 配偶者の義務違反も影響しますか?
はい。申請人本人に加え、配偶者の税金・年金の滞納もチェック対象です。世帯全体で安定した生活を営んでいるかが見られます。
Q3. 収入はどのくらい必要ですか?
金額の明確な基準はありませんが、家族の人数に応じて年収300〜400万円以上が一つの目安と言われています。
Q4. 行政書士に依頼するメリットは?
理由書の作成、資料整理、法的要件の確認、審査官の視点を踏まえたアドバイスなど、専門家のサポートにより不備のリスクを減らせます。
行政書士の立場から見た重要ポイント
✅ 永住申請は「総合判断」
単純な年数だけでなく、納税履歴・家族構成・将来の生活設計まで幅広く審査されます。
✅ 理由書の完成度がカギ
これまで複数の永住申請をサポートしてきた中で、やはり理由書の内容が審査結果に大きく影響すると感じています。生活状況や将来の計画を具体的に整理して伝えることが重要です。
✅ 疑問点は事前に解消を
年金や税金に不明点があれば、必ず説明書を添えて申請しましょう。
おわりに
日本人の配偶者等としての永住許可申請は、「書類の整え方次第で結果が大きく左右される」と実感しています。
当事務所では、お一人お一人の状況に合わせた理由書の作成、必要書類の整理、そして入管への提出代行まで丁寧にサポートしております。
永住申請をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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