UPDATED OCTOBER 2026
【行政書士が解説】日本人の配偶者等からの永住許可申請|実例に学ぶスムーズな進め方
日本人と結婚し、日本で生活している外国人の方にとって、在留資格「永住者」への変更は大きな節目の一つです。
日本人の配偶者には、一般的な「10年以上日本に在留」という要件について特例があります。ただし、「日本人と結婚していれば簡単に永住できる」という制度ではありません。
さらに、出入国在留管理庁は2026年10月1日に永住許可に関する新しいガイドラインを公表しました。特に、日本人・永住者・特別永住者の配偶者に適用される在留期間の特例は、2027年4月1日以降、大きく変更される予定です。
まず確認|2026年10月現在と2027年4月以降では条件が変わります
日本人の配偶者に対する「原則10年在留」の特例について、申請時期によって基準が異なります。
| 申請時期 | 婚姻期間 | 日本での在留期間 |
|---|---|---|
| 2027年3月31日まで | 実体を伴った婚姻生活が3年以上 | 引き続き1年以上日本に在留 |
| 2027年4月1日以降 | 実体を伴った婚姻生活が5年以上 | 引き続き3年以上日本に在留 |
つまり、これまで特例を利用できた方でも、申請時期によっては2027年4月以降の新基準ではまだ在留期間を満たさないケースがあります。
2026年10月2日現在、どちらのガイドラインが適用される?
- 2026年3月31日までに申請:2026年2月24日改訂版を適用
- 2026年4月1日~2027年3月31日に申請:原則として2026年2月24日改訂版を適用。ただし、一部の収入・公共負担に関する規定は2026年10月1日改定版を適用
- 2027年4月1日以降に申請:2026年10月1日改定版を適用
1. 日本人の配偶者には「10年在留」の特例があります
永住許可では、一般的には「引き続き10年以上日本に在留していること」が重要な判断要素となります。
しかし、日本人、永住者または特別永住者の配偶者については、この原則10年在留に関する特例があります。
ただし、「日本人の配偶者等」という在留資格を持っているだけで自動的に特例が認められるわけではありません。実際の婚姻関係が継続しており、夫婦として生活しているという実体を伴った婚姻生活が必要です。
2026年10月2日現在の基準
- 実体を伴った婚姻生活が3年以上継続していること
- かつ、日本に引き続き1年以上在留していること
2027年4月1日以降の基準
- 実体を伴った婚姻生活が5年以上継続していること
- かつ、日本に引き続き3年以上在留していること
この変更はかなり大きいものです。たとえば、婚姻4年、日本在留2年の方は、2026年中であれば特例の在留期間要件を満たす可能性がありますが、2027年4月以降の新基準ではまだ満たしません。
2. 日本人の配偶者なら「収入や素行を見られない」の?
ここは非常に誤解されやすいポイントです。
入管法上、日本人、永住者または特別永住者の配偶者・子については、
「素行が善良であること」と「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」への適合は法律上求められていません。
「素行が善良であること」と「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」への適合は法律上求められていません。
しかし、だからといって犯罪歴、税金、年金、健康保険、収入、生活状況などが一切審査されないわけではありません。
重要なのは「国益要件」です。
永住許可は法務大臣の広い裁量により判断されます。公租公課の支払、入管法上の義務の履行、家族としての生活の安定、公共の負担となる可能性なども含め、個別事情が総合的に判断されます。
税金・年金・健康保険
永住許可では、公租公課を適切に支払っているかが重要です。
税金だけでなく、公的年金や公的医療保険の保険料についても確認されます。
申請時点で未納がないというだけでなく、過去の納付状況や、納期限内に適切に履行していたかが問題になる場合があります。
日本人配偶者を含めた世帯の状況
日本人配偶者からの永住申請では、申請人本人だけを見るのではなく、夫婦・家族としての生活実態を確認することが重要になります。
特に2026年10月1日改定ガイドラインでは、家族単位での在留の安定や、世帯が現に公共の負担となっているか、またはその現実的なおそれがあるかという点も明確に示されています。
「年収300万円あれば大丈夫」という基準ではありません
インターネット上では「永住は年収300万円以上」などの情報を見かけることがありますが、公式ガイドラインに全国一律の固定金額が書かれているわけではありません。
新しいガイドラインでは、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入との比較など、世帯単位の経済状況をより具体的に考慮する考え方が示されています。
現在の在留期間にも注意
永住許可では、現在持っている在留資格について、原則として最長の在留期間を付与されていることも考慮されます。
2027年3月31日までの申請については、「3年」の在留期間でも最長期間として扱う経過措置があります。2027年4月以降についても一定の経過措置がありますが、条件がありますので、申請時期との関係を確認することが重要です。
3. 「実体を伴った婚姻生活」とは?
配偶者特例で重要なのが、単に戸籍上結婚していることではなく、実体を伴った婚姻生活が継続していることです。
実務上は、たとえば次のような事情を含め、婚姻の実態を確認することがあります。
- 夫婦が実際に共同生活をしているか
- 住所が同一か
- 別居している場合、その理由は何か
- 夫婦としての生活関係が継続しているか
- 家計や家族生活の実態があるか
仕事上の単身赴任、介護、出産その他の事情で一時的に別居しているからといって、直ちに婚姻実態がないと判断されるわけではありません。ただし、別居期間が長い場合などは、その理由や夫婦関係について説明が必要となることがあります。
4. 実務で確認することが多いケース
これまで日本人配偶者等からの永住許可申請をサポートする中でも、単純に「婚姻年数が足りているか」だけでは判断できないケースが多くあります。
ケース1|社会保険料の納付に問題が見つかった
勤務先を通じて社会保険に加入していても、会社側の処理や納付状況について確認が必要となるケースがあります。
申請人本人に直接の責任がない事情がある場合でも、事実関係を整理し、必要に応じて経緯を説明できる資料を準備することが重要です。
ケース2|日本人配偶者側の状況も確認が必要
日本人配偶者からの永住申請では、夫婦・世帯としての生活の安定性も重要です。
そのため、申請人だけを見て「問題なし」と判断するのではなく、日本人配偶者の職業、収入、税・社会保険、家族構成なども含めて、世帯全体を確認する必要があるケースがあります。
ケース3|過去に納付遅れがある
現在すべて支払済みでも、過去に税金、年金、健康保険料等の納付が遅れたことがある場合、その時期や回数、理由などを確認します。
「今は未納ではないから大丈夫」と単純に判断せず、申請前に履歴を確認しておくことが重要です。
ケース4|夫婦の住所が異なっている
仕事、介護、家族事情など合理的な理由がある場合もありますが、配偶者特例では婚姻生活の実態が重要となるため、住所が異なる理由や実際の夫婦関係を確認する必要があります。
5. 日本人の配偶者からの永住申請で準備する主な書類
必要書類は申請人の状況によって異なりますが、日本人の配偶者として申請する場合、主に次のような書類を準備します。
- 永住許可申請書
- 写真
- 日本人配偶者の戸籍謄本
- 申請人の国籍国の機関が発行した婚姻証明書
- 住民票
- 職業・収入に関する資料
- 住民税・国税に関する資料
- 年金・健康保険に関する資料
- 申請人の親族一覧表
- パスポート・在留カード
- 身元保証書
- 身元保証人の本人確認資料
- その他、個別事情に応じて必要となる資料
身元保証人について: 日本人の配偶者からの永住許可申請では、通常、日本人配偶者が身元保証人になります。
6. 理由書は「書けば許可される」ものではありません
理由書だけで永住許可の結果が決まるわけではありません。
まず重要なのは、客観的な資料によって申請人の在留状況や公的義務の履行状況、夫婦・家族としての生活実態などを確認できることです。
そのうえで、書類だけでは分かりにくい事情がある場合には、理由書や説明書を使って事実関係を整理します。
実務上のポイント: 「立派な文章を書く」ことよりも、提出資料と矛盾せず、必要な事情を客観的・具体的に説明することが重要です。
7. 永住許可申請の流れ
STEP 1
申請時期を確認
婚姻期間、日本在留期間、現在の在留期間などを確認します。
STEP 2
税・年金等を確認
申請人・世帯の状況を確認し、問題がないか整理します。
STEP 3
必要書類を収集
戸籍、住民票、税証明、年金関係資料などを準備します。
STEP 4
入管へ申請
申請書類一式を管轄の地方出入国在留管理官署へ提出します。
STEP 5
審査・追加提出
必要に応じて追加資料や説明を求められることがあります。
STEP 6
結果通知
許可された場合は、所定の手続きを行い永住者の在留カードを受け取ります。
永住申請中も現在の在留資格の更新は必要です
永住許可を申請しただけでは、現在の「日本人の配偶者等」などの在留期間は延長されません。永住審査中に現在の在留期限が来る場合は、別途、在留期間更新許可申請を行う必要があります。
8. 審査期間は「○か月」と決めつけない方がよい
永住許可の審査期間は、申請先の入管、審査状況、個別事情、追加資料の有無などによって変わります。
そのため、本記事では「4か月」「6か月」など固定した期間を案内していません。申請時には、出入国在留管理庁が公表している最新の審査処理期間を確認することをおすすめします。
9. 2027年4月から特に注意したいこと
今回の新ガイドラインでは、配偶者の在留期間特例以外にも、永住審査全体についてより具体的な考慮要素が示されています。
世帯の経済状況
収入、世帯人数、将来の生活の安定などを含めて確認されます。
公租公課
税金、年金、健康保険等の履行状況は引き続き重要です。
日本での生活状況
家族単位での在留の安定なども含め、個別事情が総合的に考慮されます。
日本語能力などについても新ガイドラインに新たな考慮要素が示されていますが、申請者の属性によって取扱いが異なる場合があります。単純に「すべての日本人配偶者にB1が必須」と判断するのではなく、申請時点の最新ガイドラインを確認することが重要です。
10. よくあるご質問
Q1. 日本人と結婚して3年経てば必ず永住申請できますか?
2027年3月31日までの申請では、原則10年在留の特例として「実体を伴った婚姻生活3年以上+日本に1年以上継続在留」という基準があります。ただし、それだけで永住許可が保証されるわけではありません。
Q2. 2027年4月以降はどうなりますか?
原則10年在留の特例は「実体を伴った婚姻生活5年以上+日本に3年以上継続在留」へ変更されます。
Q3. 日本人配偶者に十分な収入があれば、申請人本人が無職でも申請できますか?
日本人の配偶者については独立生計要件そのものへの適合は法律上求められていません。ただし、夫婦・世帯としての生活状況、公共の負担となる可能性などは総合判断の中で考慮されます。
Q4. 年収はいくらあれば大丈夫ですか?
全国一律の「○万円以上なら許可」という公式基準はありません。家族構成、世帯人数、収入、資産、生活状況等によって評価は異なります。
Q5. 夫婦で別居していると永住は無理ですか?
別居しているという事実だけで直ちに不許可になるとは限りません。仕事、介護、出産その他の事情がある場合もあります。ただし、配偶者特例では実体を伴った婚姻生活が重要なため、別居理由や実際の夫婦関係を説明できるよう準備する必要があります。
Q6. 日本語試験に合格していないと申請できませんか?
2026年10月1日改定ガイドラインでは日本語能力が考慮要素として示されていますが、すべての申請者について一律に特定のJLPT合格証を求めるという内容ではありません。また、申請者の属性に応じた取扱いがあります。2027年4月以降に申請する場合は、最新の運用を確認する必要があります。
行政書士としてお伝えしたいポイント
日本人の配偶者からの永住許可申請は、一般の永住申請より在留期間について大きな特例があります。
一方で、「3年結婚しているから大丈夫」「配偶者が日本人だから収入や税金は関係ない」というものではありません。
特に2027年4月からは配偶者特例そのものが「5年+3年」に変更されます。申請を考えている方は、婚姻期間だけでなく、在留期間、公租公課、現在の在留期間、世帯状況などを早めに確認しておくことが重要です。
公的情報・参考資料
情報確認日:2026年10月2日。制度・必要書類・審査運用は今後変更される場合があります。実際に申請する際は、最新の出入国在留管理庁の情報をご確認ください。
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日本人の配偶者からの永住申請をご検討の方へ
永住申請では、婚姻期間だけでなく、在留期間、税金、年金、健康保険、世帯状況、過去の在留状況などを確認する必要があります。
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