行政書士として開業したら、早い段階で整えておきたいのが「事件簿・請求書・入金管理」の仕組みです。
行政書士登録をして、いよいよ仕事を始める段階になると、実務の知識だけでなく、事務所運営の細かい管理も必要になります。
たとえば、次のようなことです。
- 依頼を受けた案件をどのように記録するのか
- 見積書や請求書をどう作るのか
- 入金確認をどう管理するのか
- 事件簿をどう残すのか
- 売上をどう集計するのか
私自身も、初めて正式なご依頼を受けたときに、「請求書はどうやって作ればいいのだろう」「事件簿はどう管理すればいいのだろう」と戸惑いました。
この記事では、新人行政書士の方に向けて、私が開業初期に導入して役立った「行政書士事件簿作成システム」について、実際の使用感も含めて紹介します。
この記事は、こんな方におすすめです
- 行政書士登録をしたばかりの方
- 開業準備中の行政書士試験合格者の方
- 請求書や領収証の作成方法に悩んでいる方
- 事件簿の管理方法を知りたい方
- 無料で使える業務管理ツールを探している方
- Excel管理に限界を感じている行政書士の方
新人行政書士が最初に悩む「業務管理」
行政書士として開業すると、最初はとにかく実務のことで頭がいっぱいになります。
どの書類が必要なのか、どの役所に確認すればよいのか、申請理由書をどう書くのか。こうした実務上の悩みはもちろん大きいです。
しかし、実際に依頼を受けると、それ以外にも事務所運営上の管理が必要になります。
- 相談日
- 受任日
- 業務内容
- 報酬額
- 立替金
- 請求日
- 入金日
- 事件簿への記録
- 領収証の発行
これらをその場その場で管理していると、後から分からなくなります。特に開業初期は案件数が少ないため、「まだExcelやメモで大丈夫」と思いがちです。しかし、最初の段階で管理方法を決めておかないと、案件が増えてきたときに必ず負担になります。
開業初期こそ、業務管理の仕組みを作るべき理由
案件が少ない時期は、管理方法を整えるチャンスです。忙しくなってから仕組みを作ろうとすると、日々の業務に追われて後回しになりやすいです。
行政書士事件簿作成システムとは?
行政書士事件簿作成システムとは、行政書士の業務管理に使える無料のシステムです。提供元は、株式会社ワイズ・ワイズ公共データシステム株式会社です。このシステムでは、行政書士業務で必要になりやすい次のような管理を行うことができます。
事件簿の登録
受任した案件を記録し、事件簿として管理できます。
見積書・請求書作成
報酬や立替金を入力し、見積書・請求書を作成できます。
領収証作成
入金後の領収証作成にも対応できます。
請求・入金管理
請求済み・入金済みの管理がしやすくなります。
売上集計
請求額や入金額を集計し、事務所の売上管理に活用できます。
Excel出力
集計データをExcel形式で出力でき、後の整理にも使いやすいです。
行政書士事務所の基本的な業務管理を、かなり広い範囲でカバーできるシステムです。
行政書士事件簿作成システムでできること
1. 見積書・請求書・領収証を作成できる
開業直後に意外と困るのが、見積書や請求書の作成です。行政書士業務では、報酬額だけでなく、証紙代、郵送費、交通費、各種証明書取得費用などの立替金が発生することがあります。これらを毎回手作業で計算していると、ミスが起きやすくなります。行政書士事件簿作成システムでは、必要な項目を入力することで、見積書・請求書・領収証を作成できます。新人のうちは、「請求書の形式がこれでよいのか」と不安になりやすいので、最初から行政書士向けのシステムを使えるのは安心感があります。
2. 請求・入金管理がしやすい
請求書を発行した後は、入金確認が必要です。行政書士業務では、着手金、残金、実費精算など、複数回に分けて入金を受けることもあります。そのため、請求したかどうか、入金があったかどうかを案件ごとに管理しておくことが重要です。この管理を曖昧にすると、未入金に気づかなかったり、反対に入金済みのお客様へ再度確認してしまったりする可能性があります。お金の管理は、信頼に直結します。だからこそ、開業初期から仕組み化しておくことが大切です。
3. 事件簿を残せる
行政書士にとって、事件簿は非常に重要です。どのような依頼を受け、どのような業務を行い、いつ完了したのかを記録しておくことで、後から業務内容を確認できます。開業初期は案件数が少ないため、記憶で管理できるように感じるかもしれません。しかし、数か月後、1年後に振り返ると、細かい経緯は意外と忘れています。事件簿をきちんと残しておくことは、自分自身の業務管理だけでなく、将来のトラブル防止にもつながります。
4. 売上を集計できる
開業直後は、とにかく目の前の依頼に対応することで精一杯になりがちです。
しかし、事務所を続けていくためには、売上の確認も必要です。
- 今月はいくら請求したのか
- 実際にいくら入金されたのか
- どの業務が売上につながっているのか
- どの時期に依頼が多いのか
こうした数字を把握しておくことで、事務所経営の判断がしやすくなります。行政書士は専門職ですが、同時に個人事業主・経営者でもあります。売上管理を後回しにしないことは、とても大切です。
新人行政書士におすすめする理由
私がこのシステムを新人行政書士の方におすすめしたい理由は、単に「便利だから」ではありません。
開業初期に必要な業務管理の考え方を、自然に身につけられるからです。
新人行政書士にとってのメリット
- 無料で始められる
- 行政書士業務に合った項目で管理できる
- 請求・入金ミスを防ぎやすい
- 事件簿の作成を習慣化できる
- 売上を数字で確認できる
- Excelだけで管理するより整理しやすい
- 開業初期から事務所運営の型を作れる
特に、最初の1件目・2件目の依頼を受けたときに、請求書や領収証で戸惑う行政書士は少なくないと思います。私もそうでした。実務のことで緊張している中で、お金の書類まで一から作るのは意外と負担です。その意味でも、最初から使える管理ツールを準備しておくと、安心して業務に集中しやすくなります。
ダウンロード方法
行政書士事件簿作成システムは、行政書士向けのシステムです。
ダウンロードには、行政書士登録番号が必要になります。
ダウンロードの流れ
- 日本行政書士会連合会の会員サイトにアクセス
- 会員ページへログイン
- 関連リンクまたは案内から「行政書士事件簿作成システム」を探す
- 専用ページで行政書士登録番号を入力
- システムをダウンロードしてインストール
利用環境やダウンロード方法は変更される可能性があるため、実際に導入する際は、日行連の会員ページや提供元の案内を確認してください。なお、行政書士登録番号は、単位会の会員番号ではなく、行政書士証票に記載されている番号です。
実際に使ってみた感想
私自身、開業当初はExcelで請求書や管理表を作ろうとしていました。ただ、実際に使ってみると、案件管理、請求書作成、入金管理、売上集計をすべて自分で整えるのは思った以上に大変でした。Excelは自由度が高い反面、最初に自分で設計しなければなりません。項目を増やしたり、計算式を直したり、ファイルを分けたりしているうちに、だんだん管理が複雑になっていきます。
その点、行政書士事件簿作成システムは、最初から行政書士業務に必要な項目が用意されているため、使い始めやすいと感じました。特に、見積書・請求書・領収証を一連の流れで作成できる点は、開業初期にはかなり助かります。
もちろん、完璧なシステムというわけではありません。デザインの自由度やクラウド利用、スマートフォン対応など、今後さらに便利になればよいと感じる部分もあります。それでも、無料で使える行政書士向けの業務管理システムとしては、開業初期に試してみる価値は十分にあると思います。
使うときの注意点
便利なシステムですが、使う際には注意点もあります。
1. データのバックアップを取る
業務管理システムには、顧客情報や案件情報など大切なデータを入力します。そのため、定期的にバックアップを取ることが重要です。パソコンの故障やデータ破損に備えて、外部ストレージや安全な保存先を用意しておくと安心です。
2. 複数人で同時編集しない
共有フォルダを使えば、複数のパソコンでデータを共有できる場合があります。ただし、同じデータを同時に編集すると、データ破損につながる可能性があります。複数人で使う場合は、同時編集を避け、運用ルールを決めておく必要があります。
3. 個人情報の管理に注意する
行政書士業務では、依頼者の氏名、住所、生年月日、在留資格、家族情報、財産情報など、重要な個人情報を扱います。システムに入力する情報も、当然ながら慎重に管理しなければなりません。パソコンのログイン管理、ウイルス対策、データ保存場所、バックアップ方法なども含めて、情報管理の体制を整えておくことが大切です。
Excel管理とどちらがよい?
Excelでの管理にもメリットはあります。自分の業務に合わせて自由に項目を作れるため、細かくカスタマイズしたい方には向いています。一方で、新人行政書士の方が最初から自分で管理表を作るのは、意外と時間がかかります。
| 管理方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 行政書士事件簿作成システム | 行政書士業務向けの項目が用意されており、請求書・領収証・事件簿・売上管理をまとめやすい | デザインや運用の自由度には限界がある |
| Excel管理 | 自由にカスタマイズできる | 自分で設計する必要があり、入力漏れや管理のばらつきが起きやすい |
私の感覚では、開業初期はまず行政書士事件簿作成システムを使ってみるのがよいと思います。そのうえで、自分の業務に合わない部分が出てきたら、Excelや他のクラウドサービスを併用する方法もあります。
まとめ|開業初期こそ、事件簿と請求管理を整えよう
行政書士として開業すると、実務だけでなく、請求書作成、領収証発行、入金管理、事件簿管理、売上集計など、事務所運営に必要な管理業務が発生します。これらを曖昧なまま進めると、後から確認が大変になります。
行政書士事件簿作成システムは、新人行政書士にとって、業務管理の土台を作るために役立つツールだと思います。私自身も、開業初期に導入してよかったと感じています。
もちろん、すべての事務所にとって完璧なツールというわけではありません。それでも、無料で試せる行政書士向けの業務管理システムとして、登録直後の方や開業準備中の方は、一度確認してみる価値があります。
行政書士業務は、書類を作るだけではありません。依頼を受け、進捗を管理し、請求し、入金を確認し、記録を残すところまでが事務所運営です。開業初期から業務管理の仕組みを整えておくことは、将来の自分を助ける大切な準備になると思います。