こんにちは。行政書士トラスト事務所の宇都宮恵子です。
行政書士として開業してから、ちょうど1年が経ちました。正直に言うと、この1年は「楽しかったです」「順調でした」と一言でまとめられるようなものではありませんでした。分からないことも多く、不安になることもありましたし、案件ごとに調べ、悩み、確認しながら進めてきた1年でした。
それでも今振り返ると、開業前にしておいてよかったこと、開業してから初めて分かったこと、そしてこれから行政書士を目指す方や、登録したばかりの方に伝えたいことが少しずつ見えてきました。
この記事では、私自身の開業1年目の経験をもとに、行政書士受験生の方や、これから開業を考えている方、登録したばかりで不安を感じている方に向けて、できるだけ正直に書いてみたいと思います。
開業前にしておいてよかったこと
私が開業前にしておいてよかったと感じていることの一つが、ブログでの情報発信です。
行政書士試験に合格してから、実際に開業するまでの約半年間、私はほぼ毎日のようにブログを書いていました。気づけば、開業前の時点で100記事以上を公開していました。
ただし、ここで一つ注意しなければならないことがあります。
行政書士試験に合格しただけの段階では、まだ「行政書士」と名乗ることはできません。
行政書士会に登録し、正式に行政書士名簿に登録されて初めて、行政書士として業務を行うことができます。
そのため、私は開業前の記事では、あくまで「行政書士試験合格者」として、自分が実務講座や書籍で学んだこと、開業準備の中で調べたことなどをまとめていました。
最初は、正直なところ「これを書いて本当に意味があるのかな」と思うこともありました。まだ実務経験もない。依頼も受けていない。そんな自分が書けることには限界があると感じていたからです。
でも、今思えば、あの時期に文章を書き続けたことは、自分の考えを整理する大切な時間でもありました。
そして、開業してからわずか1週間ほどで、インターネット経由のお問い合わせをいただくことができました。もちろん、それがすべてブログのおかげだったと断言することはできません。
でも、開業前から何も発信していなければ、少なくともインターネット上で見つけてもらう可能性はかなり低かったと思います。
開業直後は、実績も知名度もありません。だからこそ、自分が何を考えているのか、どのような分野に関心があるのか、どんな姿勢で仕事をしたいのかを、少しずつ外に出しておくことは大切だと感じています。
開業1年目に経験した業務
開業してからの1年で、ありがたいことに、さまざまなご相談やご依頼をいただきました。
もちろん、個別の案件について詳しく書くことはできませんが、大きく分けると、次のような分野を経験しました。
在留資格・外国人関連業務
- 経営管理ビザ申請
- スタートアップビザ申請
- 定住者ビザ申請
- 日本人の配偶者等ビザ申請
- 永住許可申請
- 帰化申請 など
私の事務所では、外国人の方の在留資格に関するご相談が多くあります。
ビザの申請は、単に書類を集めて提出すればよいというものではありません。
その方が日本でどのように暮らしてきたのか、これからどのように生活していくのか、事業を行う場合にはどのような計画で進めていくのか。そうした事情を丁寧に整理し、必要な資料や説明を準備していく必要があります。
特に経営管理ビザやスタートアップビザのような案件では、事業計画の現実性や資金計画、事務所の確保、今後の展望など、確認すべき点が多くあります。
大変な部分もありますが、外国人の方が日本で生活し、働き、事業を始めるための大切な場面に関わることができるのは、行政書士として大きなやりがいでもあります。
許認可関連業務
- 風俗営業許可申請
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届出
- ABTC(APECビジネストラベルカード)申請 など
許認可の業務も経験しました。
在留資格の業務とはまた違い、許認可では、法律上の要件だけでなく、図面、設備、営業形態、地域の実情なども関係してきます。
特に飲食店関係の手続きでは、書類だけを見て終わりではなく、実際の店舗や営業内容を理解することも必要になります。
行政書士の仕事は、机の上だけで完結するものではないのだと実感しました。
依頼者のビジネスが実際に動き出す場面に関わる仕事でもあり、その責任の重さも感じました。
自動車登録・車庫証明などの地域業務
- 自動車登録関係
- 車庫証明
また、自動車登録や車庫証明のような地域に根ざした業務も行いました。
こうした業務は、一つひとつの案件だけを見ると、在留資格や大きな許認可業務に比べて地味に見えるかもしれません。
でも、実際にやってみると、地域の方との信頼関係を築く大切な仕事だと感じます。
「助かりました」「ありがとうございます」と直接言っていただけることもあり、開業1年目の私にとっては、とても励みになりました。
開業して分かったこと
この1年で強く感じたのは、行政書士の仕事は、知識だけでは成り立たないということです。
もちろん、法律や制度を正確に理解することはとても大切です。
ただ、それだけではなく、お客様の話を聞く力、必要な情報を整理する力、分からないことを確認する力、そして自分の考えを分かりやすく伝える力も必要になります。
開業前は、「実務の知識をもっと増やさなければ」と思っていました。
もちろんそれは今でも大切です。
でも、実際に仕事をしてみると、知識を持っているだけでは足りません。
その知識を、目の前のお客様の状況に合わせてどう使うか。
ここがとても難しく、同時に行政書士の仕事の面白さでもあると感じています。
「人」と「発信」は本当に大切
開業1年目を振り返ると、「人」と「発信」の大切さを強く感じます。
まず、「人」です。
お客様との信頼関係はもちろんですが、先輩行政書士の先生方、他士業の先生方、地域の方とのつながりにも何度も助けられました。
開業直後は、分からないことばかりです。
一人で調べることも大切ですが、適切な場面で相談できる人がいることは、本当に心強いです。
そして、「発信」です。
ブログ、ホームページ、SNS、Googleビジネスプロフィールなどを通じて、自分の事務所を知ってもらうことは、開業初期には特に重要だと感じています。
特に、私の事務所では外国人のお客様からのお問い合わせも多いため、インターネット上で事務所の雰囲気や対応分野が分かることは、安心材料になるのだと思います。
また、お客様からいただいたGoogleレビューも、大きな信頼につながっていると感じます。
行政書士の仕事は、形のある商品を売る仕事ではありません。
だからこそ、「この人に相談して大丈夫そうだ」と思ってもらえる材料を、日頃から積み重ねておくことが大切だと思います。
行政書士受験生の方へ
これから行政書士を目指す方に伝えたいのは、試験勉強はもちろん大切ですが、その先のことも少しずつ考えておくとよいということです。
行政書士試験に合格した後、すぐに開業する人もいれば、勤務しながら準備する人もいると思います。
どの道を選ぶとしても、自分がどのような分野に関心があるのか、どんなお客様をサポートしたいのかを考えておくことは、後から必ず役に立ちます。
また、合格後すぐに専門家として完璧である必要はありません。
私自身も、開業してから分かったこと、案件を通じて初めて学んだことがたくさんあります。
大切なのは、分からないことをそのままにしないこと。
調べる、確認する、必要に応じて専門機関や関係先に問い合わせる。
その積み重ねが、少しずつ実務力につながっていくのだと思います。
行政書士登録をしたばかりの方へ
登録したばかりの頃は、不安が大きいと思います。
私もそうでした。
お問い合わせが来るのか。実際に依頼を受けたとき、自分に対応できるのか。
他の先生方と比べて、自分はまだまだ足りないのではないか。
そう感じる場面は何度もありました。
でも、1年やってみて思うのは、最初からすべてを完璧にできる人はいないということです。
もちろん、受けるべきでない案件を無理に受けることは危険です。
分からないまま進めることも、絶対に避けなければなりません。
ただ、慎重に調べ、確認し、必要な準備をしながら、一つひとつの案件に向き合っていくことで、少しずつ経験は積み上がっていきます。
開業1年目は、派手な実績を作る時期というよりも、自分の土台を作る時期なのかもしれません。
お客様への対応、書類作成、問い合わせ対応、情報発信、他士業との連携、時間管理。
その一つひとつが、事務所の基礎になっていくのだと思います。
これからのこと
行政書士としての1年目は、本当にあっという間でした。
不安もありましたし、思うようにいかないこともありました。
それでも、多くのお客様にご相談いただき、さまざまな案件を経験しながら、少しずつ自分の事務所を育ててくることができました。
これからも、外国人の方や地域の方々の生活、ビジネス、そして日本での新しい一歩を支える行政書士でありたいと思っています。
開業1年目は、決して簡単な時間ではありませんでした。
でも、今は「続けてきてよかった」と思っています。
この記事が、これから行政書士を目指す方や、登録したばかりで不安を感じている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
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