【行政書士が解説】在留資格「研究」とは?研究者の学歴・研究経験・報酬要件と「教授」「技人国」との違い

STATUS OF RESIDENCE GUIDE
在留資格「研究」とは?
在留資格「研究」は、
日本の公私の機関との契約に基づいて、研究を行う業務に従事する外国人を対象とする在留資格です。
代表的には、政府関係機関、研究機関、企業の研究所等で研究者として働く外国人が対象となります。
ただし、
「研究」という名称の仕事であれば何でも在留資格「研究」になるわけではありません。
大学等で行う研究であれば「教授」、企業の通常業務に直接従事するのであれば「技術・人文知識・国際業務」となる場合もあります。

STATUS
活動資格
入管法別表第一の二
ACTIVITY
研究業務
政府機関・研究機関・企業等
PERIOD
在留期間
5年・3年・1年・3月

1. 在留資格「研究」の対象となる活動

入管法では「研究」を、
本邦の公私の機関との契約に基づいて
研究を行う業務に従事する活動

と定めています。
ただし、大学・大学に準ずる機関・高等専門学校において行う研究等、在留資格「教授」に該当する活動は除かれます。
研究に含まれる活動
  • 研究のための試験
  • 調査
  • 分析
  • 研究開発
  • その他、研究目的のために行う業務
行政書士の実務ポイント
「研究者」という肩書だけで判断するのではなく、研究の目的、勤務先の性格、本人の具体的な業務内容を確認します。

2. 「本邦の公私の機関」とは?

「研究」は、日本にある公私の機関との契約を前提とします。
  • 国・地方公共団体の機関
  • 独立行政法人
  • 会社
  • 公益法人等の法人
  • 研究機関
  • 一定の任意団体
  • 日本に事務所・事業所を有する個人
また、研究のみを目的とする専門研究機関でなくても、一般企業等が自社事業を遂行するために基礎的・創造的な研究を行っている場合には、その研究活動が「研究」に該当することがあります。

企業の研究開発部門でも「研究」になり得ます。
重要なのは、会社名や研究所という名称ではなく、実際の業務が研究そのものであるかどうかです。

3. 日本の機関との「契約」が必要

「研究」では、申請人本人と日本の公私の機関との間に継続的な契約関係が存在することが必要です。
契約の例
  • 雇用契約
  • 委任契約
  • 委託契約
  • 嘱託契約
  • その他継続的な研究業務に関する契約

外国人本人が日本の機関と契約していない場合は注意が必要です。
外国の研究機関と日本の研究機関との契約だけがあり、本人は外国機関との契約しか持たない場合、原則として「研究」の契約要件を満たさないことがあります。
ただし、組織間で直接・継続的な体制が整備されている場合など、個別事情を確認する必要があります。

4. 学歴・研究経験の基準

「研究」には、申請人の学歴・研究経験に関する上陸許可基準があります。
パターンA
大学(短期大学を除く。)を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受け、又は日本の専修学校の専門課程を修了した後、従事予定の研究分野について次のいずれかを有すること。
  • 修士の学位
  • 3年以上の研究経験(大学院で研究した期間を含む。)
パターンB
従事しようとする研究分野について、10年以上の研究経験(大学で研究した期間を含む。)を有すること。

研究分野との関連性も重要です。
単に研究歴が長いだけではなく、日本で従事する予定の研究分野とこれまでの学歴・研究経験との関連性を確認します。

5. 日本人と同等額以上の報酬が必要

申請人は、日本人が同じ研究業務に従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受ける必要があります。
「月額○万円以上」という固定基準ではありません
職種、研究内容、経験、勤務先等を踏まえて、同等の研究業務に従事する日本人との比較で判断します。

6. 海外の事業所から日本へ転勤して研究する場合

海外にある事業所の研究者が、同一企業・組織の日本事業所へ期間を定めて転勤して研究に従事する場合には、通常の学歴・研究経験基準について特例があります。
主な条件
転勤直前に、外国の本店・支店その他の事業所で「研究」に相当する業務に継続して1年以上従事していたことが必要です。
過去に日本の同一事業所で「研究」の在留資格によって研究業務に従事していた期間がある場合には、一定の場合、その期間を合算できます。

「企業内転勤」と混同しないよう注意が必要です。
研究そのものを行う場合と、技術・人文知識・国際業務に相当する業務を企業内転勤として行う場合では、適切な在留資格が異なります。

7. 「研究」と「教授」の違い

研究者の在留資格で特に重要なのが、「研究」と「教授」の区別です。
比較 研究 教授
主な勤務先 研究機関、企業、政府関係機関等 大学、大学に準ずる機関、高等専門学校
活動 研究業務 研究、研究指導、教育
上陸許可基準 学歴・研究経験・報酬等 原則として「研究」と同様の学歴基準はない

大学で研究をする場合は通常「教授」
日本の大学・大学に準ずる機関・高等専門学校において報酬を得て研究を行う場合には、原則として「研究」ではなく「教授」を検討します。

8. 「研究」と「技術・人文知識・国際業務」の違い

企業の研究開発部門では、「研究」か「技術・人文知識・国際業務」かの判断が重要になります。
「研究」となり得る活動
会社の事業遂行に必要な、基礎的・創造的な研究そのものに従事する場合。
「技術・人文知識・国際業務」となり得る活動
本人の技術・知識を用いて、会社の通常業務を直接遂行する活動であり、研究そのものが主たる活動ではない場合。

9. 無報酬の研究は「文化活動」となる場合があります

在留資格「研究」は、日本で研究業務に従事し、報酬を受ける活動を前提としています。
一方、報酬を受けない学術上の研究活動を行う場合には、「文化活動」が問題になります。
奨学金・手当等については、その性質・金額・支給目的により「報酬」に当たるかを個別に確認する必要があります。

10. 医師資格を持つ外国人が研究を行う場合

日本の医師資格・歯科医師資格等を有する外国人であっても、病院で診療を行うのではなく、研究所等で研究活動に専ら従事する場合には、「研究」が問題になります。

資格ではなく活動内容で判断
医師免許を持っているから必ず「医療」なのではありません。診療をするのか、研究だけを行うのかによって在留資格が変わります。

11. 一部の公的機関等では上陸許可基準の適用除外があります

一定の公的機関等との契約に基づいて研究業務に従事する場合には、通常の学歴・研究経験及び報酬に関する上陸許可基準が適用されない場合があります。
対象となり得る機関
  • 国
  • 地方公共団体
  • 我が国の法律により直接設立された法人
  • 特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人
  • 独立行政法人
  • 国・地方公共団体・独立行政法人から交付された資金により運営される一定の法人
  • 法務大臣が告示で定める機関

「公的っぽい機関」なら何でも除外されるわけではありません。
法人の法的性格や告示該当性を確認して、上陸許可基準の適用有無を判断する必要があります。

12. 所属機関はカテゴリー1~4に区分されます

現在の出入国在留管理庁の提出書類では、所属機関の規模・性質等に応じてカテゴリー1~4に区分されています。
カテゴリーは「許可されやすさ」の順位ではありません
カテゴリーは、所属機関の規模・公的性格・税務資料等に応じて提出書類を区分するためのものです。
カテゴリー1だから許可されやすい、カテゴリー4だから不利という制度ではありません。
カテゴリー1には、上場企業、国・地方公共団体、独立行政法人、特殊法人・認可法人、一定の公益法人等が含まれます。
2026年4月15日以降
カテゴリー3又は4に該当する申請では、所属機関の代表者に関する申告書が追加の提出資料となっています。

13. 主な必要書類

具体的な提出書類は、COE、在留資格変更、更新等の申請区分と所属機関のカテゴリーによって異なります。
主な立証資料
  • 申請人の活動内容・報酬等を示す雇用契約書・労働条件通知書等
  • 履歴書
  • 卒業証明書・学位証明書
  • 研究経験を証明する資料
  • 所属機関の事業内容・研究内容を示す資料
  • 登記事項証明書等
  • 所属機関のカテゴリーを証明する資料
  • 派遣就労の場合は派遣先での活動内容を示す資料

研究分野と本人の経歴のつながりを示すことが重要です。
学位・研究経験があるだけでなく、その経歴が日本で予定する研究とどのようにつながっているのかを資料から確認します。

14. 海外からの申請・在留資格変更・更新

海外から日本へ
海外の研究者を日本へ招聘する場合は、原則として在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行います。
日本国内で活動変更
現在別の在留資格で日本にいる外国人が、新たに研究業務に従事する場合は、在留資格変更許可申請を検討します。
研究活動を継続
現在の在留期間を超えて研究を継続する場合は、在留期間更新許可申請を行います。

更新時には、引き続き研究活動を行っているか、勤務先、研究内容、報酬、課税・納税状況等を確認します。
活動内容が研究から別の業務へ変わっている場合には注意が必要です。

15. 在留期間は5年・3年・1年・3月

在留資格「研究」の在留期間は、5年、3年、1年又は3月です。
具体的な在留期間は、契約期間、所属機関、職務上の地位、これまでの在留状況、研究活動実績等を踏まえて決定されます。

カテゴリーと在留期間は別の問題です。
カテゴリー1だから必ず5年、カテゴリー4だから1年という単純な関係ではありません。

16. よくある質問

Q. 大学で研究員として働く場合は「研究」ですか?

大学、大学に準ずる機関、高等専門学校で報酬を受けて研究を行う場合には、原則として在留資格「教授」を検討します。
Q. 企業のR&D部門なら必ず「研究」ですか?

必ずしもそうではありません。
基礎的・創造的な研究そのものを行う場合は「研究」になり得ますが、本人の技術・知識を使って通常業務を直接行う場合は「技術・人文知識・国際業務」となることがあります。
Q. 修士号があれば必ず「研究」を取得できますか?

修士号は上陸許可基準の一つですが、研究分野との関連性、日本の機関との契約、研究業務の内容、報酬等も確認されます。
Q. 修士号がなくても申請できますか?

可能な場合があります。
従事予定の研究分野で3年以上又は10年以上の研究経験を有するなど、別の基準を満たせるか確認します。
Q. 無給の研究員でも「研究」を取得できますか?

「研究」は原則として日本人と同等額以上の報酬を受ける活動です。
無報酬の学術研究であれば、「文化活動」等が適切となる場合があります。
Q. 医師が病院の研究部門で研究だけをする場合は?

診療等の医療業務ではなく、研究活動に専ら従事する場合には在留資格「研究」を検討します。
Q. カテゴリー1の研究機関なら許可されやすいですか?

カテゴリーは提出資料の区分であり、許可可能性を順位付けする制度ではありません。
申請人本人の活動内容・学歴・研究経験・契約内容等を個別に審査します。

17. 根拠・参考資料

本ページは、2026年10月17日時点の法令、出入国在留管理庁の最新公表情報及び在留資格審査実務上の資料を確認したうえで、行政書士として実務上重要と考える事項を整理しています。
  • 出入国管理及び難民認定法
  • 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令
  • 出入国在留管理庁「在留資格『研究』」
  • 出入国在留管理庁「『研究』に係る提出書類一覧」
  • 在留資格「研究」に関する審査基準・審査実務上の資料
個別案件について
「研究」では、勤務先がどのような機関であるか、日本で予定する活動が本当に研究業務といえるか、本人の学歴・研究経験との関連性、契約形態、報酬等を個別に確認する必要があります。
特に「教授」「技術・人文知識・国際業務」「文化活動」との区分は、実際の活動内容によって判断します。

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契約・報酬等を確認しながら、
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ご相談いただける主な内容
  • 海外の研究者を招聘するCOE申請
  • 企業研究者の在留資格
  • 大学研究者と「教授」の区分
  • R&D業務と「技術・人文知識・国際業務」の区分
  • 学歴・研究経験の確認
  • 海外事業所からの研究者の転勤
  • 在留資格変更
  • 在留期間更新
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